
今回は、国民年金保険料の未納期間がある方からの質問です。
Q:60歳の女性。国民年金の任意加入をするのがいいか、厚生年金に加入するのがいいのか悩んでいます
「今60歳の女性。パート。国民年金は加入期間が472カ月で、年金満額を受けるには8カ月足りません(20歳の頃の分です)。これから厚生年金に加入すると、加入期間を増やすことができるのですか? 受け取り年金額を増やすためには、国民年金の任意加入をするのがいいか、厚生年金に加入するのがいいのか悩んでいます」(ポンタ)A:国民年金に任意加入し加入期間が合計480カ月になれば、老齢基礎年金は満額もらえるようになります。厚生年金に加入して働く場合、老齢基礎年金は満額になりませんが、経過的加算という老齢基礎年金相当額がもらえます
日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人は、国民年金に加入して保険料を納付する必要があります。国民年金保険料の納付済期間が480カ月(40年)に満たない場合は、老齢基礎年金を満額受け取ることはできません。
相談者「ポンタ」さんは、より多くの年金を受け取れるようにと検討されています。年金受給額が増えると、老後生活の安定につながります。
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相談者「ポンタ」さんはパートで働く60歳とのこと。60歳以降の厚生年金加入で、国民年金の加入期間も増やせるのか?という質問ですが、国民年金の加入期間を増やすことはできません。国民年金の任意加入制度を利用しなければ、老齢基礎年金は満額になりません。ただし厚生年金の加入期間が480月(40年)に満たない場合、60歳以降、厚生年金に加入して働けば、厚生年金から経過的加算という老齢基礎年金相当額の年金を65歳以降受け取れることになります。
老齢厚生年金は、収入金額が多いほど、加入期間が長くなるほど、65歳以降にもらえる金額が多くなりますので、国民年金の任意加入制度を利用するよりも、厚生年金に加入して働いたほうが将来もらえる年金は多くなるでしょう。
注意点としては、60歳以降、厚生年金に加入して、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金をもらう場合、老齢厚生年金の報酬比例部分の月額と、給与収入など(総報酬月額相当額)が支給停止基準額51万円(令和7年度)を超えると、在職老齢年金制度が適用され、特別支給の老齢厚生年金や老齢厚生年金の全額もしくは一部が支給停止になります。
監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)
都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。
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