
4月初旬の早朝、大学に通学するため電車に乗っていた10代の学生「もやし」さんはXにこんな投稿をしました。「今小田急線で電車乗ってたら、人身事故で自分が乗ってた電車が急停止しました。トイレを我慢して電車に乗ったのでトイレに行きたいです」。この日、小田急小田原線の踏切では午前7時40分ごろに人身事故が発生。上下線で一時運転を見合わせたのです。
約1時間半閉じ込められ
運転再開はいつになるのか。尿意を我慢したままのもやしさんは、焦りをSNSにぶつけて気持ちを紛らわせました。投稿は約1833万回表示されるほど拡散し、SNSユーザーからは「車掌さんに交渉してみては?」「トイレに行きたいと大きな声を出してみては?他にもトイレに行きたい人はいるはず」「つい最近同じ体験しました」「脂汗ダラダラで耐えたことある」「これ本当にシャレにならないんだよな」などの声が相次ぎました。
緊急停止から約1時間半後、もやしさんが乗っていた電車はやっと動き始めたそう。「電車は駅の目の前で止まってしまった感じです。その間、消防の方が体調不良の方がいないか見回っていました」(もやしさん)
何とかピンチを乗り越えたもやしさんは、まいどなニュースの取材に対し、今回の出来事を通じて「トイレのない電車に乗るときは、先にお手洗いを済ましておくこと」を学んだと話してくれました。
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防災のプロ「すぐできるトイレ対策は」
ソナエルワークス代表で備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは、音声メディアVoicy(ボイシー)の自身の番組「死なない防災!そなえるらじお」の中で、電車やエレベーターに閉じ込められることは誰にでも起こり得ることだとし、「トイレの問題は短時間から長時間の閉じ込めまで、あらゆる状況で発生するため極めて重要」と指摘しています。
すぐにできる対策法としては、「小学生並みの対策になりますが」と断った上で、「閉じ込められる可能性がある施設や乗り物に乗る前には、トイレを済ませて起きましょうという対策につきます」とアドバイス。鉄道会社によっては非常用トイレなどを準備していることもあるので、切羽詰まった場合は乗務員に尋ねてみるのも方法の一つだと話します。
また、防災の観点からも、携帯トイレや目隠し用の携帯ポンチョ、アルミのエマージェンシーブランケットなどを日頃から持ち歩くことを提案しています(「死なない防災!そなえるらじお」2021年10月13日放送回「停電は突然に…エレベーターや電車への閉じ込め対策を」から)。
「一本遅くなっても」「1、2駅区間でも」教訓が続々
今回のもやしさんの投稿には多くの鉄道ユーザーが反応。「教訓になる」と注目を集めています。参考になる意見を紹介します。
電車に乗る前には必ずトイレを済ませるという慎重派の人からは、「電車に乗るときは一本遅くなってもトイレ優先で」「いつ何が起きるかわからないから、1、2駅区間でもトイレを我慢した状態では乗らないと決めてる」「エレベーターでさえ心配。直前にトイレを済ませるようにしてる」「電車とエレベーターはトイレを我慢した状態で乗ってはいけません」などの声が。
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また、過去の災害体験などから、不測の事態に備えて自己防衛しているという人も目立ち、「車内で使えるかわからないけどバッグの中に100円ショップの簡易トイレは準備してる」「通勤バッグの中に簡易トイレと、水や栄養補給になる食べ物は一晩分常備してる」「簡易トイレを持ってるというだけで安心感がある」などの実例も挙げられました。
(まいどなニュース・金井 かおる)