国土地理院のWebサイト「地理院地図」では、ある場所の上空からの景色を年代別に見ることができます。今回は、名古屋駅の上空写真を、戦後すぐから2020年代まで、約75年にわたって見比べてみました。
●1945〜1950年
名古屋駅は1886年に開業し、1937年に現在の位置に移転しました。移転時にできた駅ビルは地下1階・地上6階建てで、完成時には「東洋一の規模」といわれていました。また、名古屋駅ならではの景色である東側のロータリーも、このときにできたものです。なお、ロータリーを貫くように走っているのは、名古屋市電(路面電車)の線路です。
このように、戦後の名古屋駅の発展は駅の東側から始まり、西側にはまだ細かい建物が多い時期でした。
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●1961〜1969年
1961〜1969年の写真では、駅の西側が開発されてきたことが分かります。それというのも、この時期は東海道新幹線の開業期にあたり、駅の西側に新しいホームが設置されたのです。
駅の東側は、ロータリーの中央の形が、円形から半月形に変わりました。これは、地下鉄の工事の影響で駅前の整備が行われた影響です。
●1974〜1978年
駅周辺の小さな建物が減り、広い駐車場や交差点が見受けられるようになりました。駅の東側では、1974年の名古屋市電の廃止により線路が撤去されました。
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●2007年
時代はぐっと進んで2007年。駅の東側には、1989年に設置されたモニュメント“飛翔”が見えます。“飛翔”は当時名古屋市制100周年などを記念して建てられたもので、2022年の再開発で撤去されるまで、現地のシンボルであり続けました。また、駅に直結する部分には、1999年に開業したJRセントラルタワーズも見えます。
●2017年
2017年の写真では、複数の高層ビルが建設中であることが分かります。
●2020年
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2017年に建設中だったビルが完成したようです。“飛翔”が残っていることを除けば、ほぼ現在の名古屋駅の姿となりました。
名古屋駅周辺は、現在も再開発が進んでいます。駅東側の空間の狭さや西側の歩行者用エリアの狭さを解消し、リニア中央新幹線の開業も視野に入れつつ、“国際都市ナゴヤ”にふさわしい「スーパーターミナル」に進化していくのだそうです。
●参考文献
・地理院地図(電子国土Web)
・名古屋市「名古屋駅駅前広場の再整備プラン(中間とりまとめ)」前半
・名古屋市「名古屋駅駅前広場の再整備プラン(中間とりまとめ)」後半
名古屋市「リニア中央新幹線の開業に向けた都心まちづくり」
●文:近藤仁美(こんどう・ひとみ)
クイズ作家。国際クイズ連盟日本支部長。株式会社凰プランニング代表取締役。これまでに、『高校生クイズ』『せっかち勉強』等のテレビ番組の他、各種メディア・イベントなどにクイズ・雑学を提供する。国際賞「Trivia Hall of Fame(トリビアの殿堂)」殿堂入り。著書に、『クイズ作家のすごい思考法』『人に話したくなるほど面白い! 教養になる超雑学』などがある。
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