青葉賞を勝利したエネルジコ(撮影:下野雄規)【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】
◆血統で振り返る青葉賞
【Pick Up】エネルジコ:1着
父ドゥラメンテは現3歳がラストクロップ。わずか5年という短い供用期間でしたが、タイトルホルダー、リバティアイランド、スターズオンアース、ドゥレッツァ、シャンパンカラー、ルガル、ドゥラエレーデなど多くの活躍馬を出しました。
現3歳のマスカレードボールは、苦手といわれた右回りの皐月賞で3着に食い込み、日本ダービーの有力候補に浮上しました。エネルジコ、ファイアンクランツの日本ダービー出走が確定し、アスクシュタイン、エムズ、キングスコール、ネブラディスクは京都新聞杯で出走権獲得に挑みます。ドゥラメンテ産駒のダービー制覇は今年がラストチャンス。質・量ともにかなりの陣容となりそうです。
エネルジコはこれで3戦全勝。ヴィンターファヴォリテン賞(独G3・芝1600m)を勝ったエラスムスの半弟ですが、母エノラは独オークス(G2・芝2200m)の勝ち馬で、エネルジコの姪にも独オークスの勝ち馬がいます。母の兄弟にはドイツの重賞勝ち馬が2頭おり、それぞれ芝2400mと芝3200mを勝っています。大レース向きのスタミナと底力を感じます。
母方にドイツ血統を抱えたドゥラメンテ産駒といえば、桜花賞とオークスの牝馬二冠を制覇したスターズオンアースがいます。3歳春はもちろんですが、古馬になってさらに強くなる血統です。
ドゥラメンテ産駒は東京芝2400mで連対率30.0%。2015年以降、当コースで産駒が20走以上した35頭の種牡馬のなかで第1位。青葉賞は昨年のシュガークンに次ぐ連覇となりました。今年から青葉賞と日本ダービーのレース間隔は中3週から中4週に広がります。これは追い風でしょう。
◆血統で振り返る青葉賞
【Pick Up】カムニャック:1着
ブラックタイドは24歳の今年も日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションに繋養され、プライベートという形で供用されています。一昨年、昨年の種付け頭数はそれぞれ7頭。高齢ですから致し方ありません。
現役時代、スプリングSを勝ったのが唯一の重賞タイトルでしたが、稀代の名馬ディープインパクトの全兄という血統が評価され、種牡馬入りを果たしました。この馬の直系子孫がやがてサンデーサイレンス系の主力を形成することになると想像した人はいなかったでしょう。息子のキタサンブラックが2年連続で年度代表馬に選出され、その息子イクイノックスはロンジンワールドベストレースホースのタイトルを獲得しました。この2頭の2025年の種付け料は2000万円。キズナ(父ディープインパクト)と並んでトップタイです。
長い種牡馬生活を通じてブラックタイドが送り出したJRA重賞勝ち馬はわずか7頭。息子のキタサンブラックから大きな飛躍を遂げたという評価が妥当でしょう。その一頭であるカムニャックは、キタサンブラックと同じ「ブラックタイド×サクラバクシンオー」という組み合わせであることが評価できます。半兄キープカルム(父ロードカナロア)はダービー卿CT3着馬。母ダンスアミーガは中京記念や関屋記念で4着という成績があり、牝系をさかのぼるとダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードを産んだダンシングキイにさかのぼります。
距離延長はプラスだと思われるので、折り合いさえつけば芝2400mのオークスは悪くない舞台です。