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作家・檀一雄さんの75年の小説「火宅の人」の主人公・恵子のモデルとされている、俳優の入江杏子(いりえ・きょうこ、本名=入江久惠)さんが、4月24日午前9時15分、老衰のため東京都内で亡くなった。97歳だった。所属の劇団民藝が2日、発表した。葬儀・告別式は同29日に東京都渋谷区の代々幡斎場にて執り行われ、喪主は弟の入江海人さんが務めた。現在のところ、お別れの会等の予定はないという。
入江さんは、1927年(昭2)7月14日、福岡県生まれ。福岡高等女学校を卒業し、51年に劇団民藝附属演劇研究所へ入所。民藝初舞台は52年の久保栄作・演出「五稜郭血書」群衆で、56年に劇団員となった。
入江さんは、無頼派の作家と呼ばれた檀さんと交際関係にあった。「火宅の人」は、妻子を持つ作家が助手の新進女優と関係を持ち、妻と別居し同居に踏み切った後も結婚する気もないながら関係を続け、女優は妊娠、堕胎を繰り返すなど、破綻した生活を送った壮絶な日々を描いた。
79年に日本テレビ系でドラマ化され、三國連太郎さんが主人公の桂一雄、矢島恵子を原田美枝子が演じた。86年には東映が深作欣二監督の手で映画化し、桂一雄を緒形拳さん、恵子はドラマ版と同じく原田美枝子が演じた。そして一雄の母親を、檀さんの実娘の檀ふみが演じ、配給収入10億1000万円と大ヒットした。
入江さんは、檀さんとの関係については沈黙を続けていたが、76年1月に檀さんが63歳で亡くなって23年後の99年9月に著書「檀一雄の光と影『恵子』からの発信」を刊行。檀さんとの出会いから別れなど、関係をつづった内容が話題を呼んだ。
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最後の舞台は、11年の藤沢周平原作・吉永仁郎脚本の「思案橋」おつねだった。
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