ストーカーから事件に発展 「ハネムーン期」の後に暴力エスカレート

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2025年05月04日 12:05  毎日新聞

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毎日新聞

中央合同庁舎第2号館に掲げられる警察庁・国家公安委員会の看板=東京都千代田区で2022年8月25日午後2時38分、北山夏帆撮影

 川崎市の民家から遺体で見つかった岡崎彩咲陽(あさひ)さん(20)の家族は、岡崎さんが、死体遺棄容疑で逮捕された元交際相手の白井秀征容疑者(27)からストーカー行為を受けていたと訴えている。全国の警察へのストーカーの相談件数は近年、年間2万件前後で高止まりの状態が続く。警察は「事態が急展開して重大事件に発展するおそれが大きい」と危険性を指摘している。


 警察庁によると、相談件数は2013年に初めて2万件を超えた。17年の2万3079件が最多で、24年は前年より1・4%減の1万9567件だったが、高い水準で推移している。


 摘発は増加傾向にあり、24年はストーカー規制法違反が1338件(前年比23・8%増)、刑法犯などは1742件(同2・0%増)だった。


 警察庁による詳しい分析のある23年(相談件数1万9843件)では、被害者の性別は女性が87・0%を占めた。被害者の年齢は20代の34・3%が最多で、30代の21・5%が続いた。加害者も20代が19・9%で最も多かった。


 被害者と加害者の関係は、最多が交際相手(元を含む)の37・2%で、知人友人が13・9%で続いた。動機は「好意の感情」が66・8%、「好意が満たされず怨恨(えんこん)の感情」が15・0%だった。


 摘発された2789件のうち、殺人未遂18件、傷害100件などの重大事件に発展するケースもある。殺人は19〜23年の5年間で3件が摘発された。


 ストーカーを巡っては、1999年に埼玉県桶川市で女子大学生が犠牲になった事件などを受け、翌00年にストーカー規制法が施行された。


 その後も、新しいコミュニケーション手段が使われた末に犠牲者が出た事件などを受け、3回の法改正をして対策を強化。電子メールの大量送信や、交流サイト(SNS)を使いしつこくメッセージを送る行為などが規制対象に加わった。


 また、被害者や家族が警察に相談していたにもかかわらず、殺人事件などに至ったケースもこれまでも起きている。11年に長崎県でストーカー被害を訴えていた女性の家族2人が殺害された事件では、千葉、三重、長崎の3県警の連携不足が明らかになった。


 13年に東京都三鷹市で女子高校生が元交際相手の男性に殺害された事件では、生徒は事前に最寄りの警察署に相談していた。23年に福岡市博多区で女性会社員が元交際相手の男性に殺害された事件では、県警が男性にストーカー規制法に基づく緊急禁止命令を出していた。


 ストーカーから身を守るためにはどうすればいいのか。警察庁は未然防止のために必要なことを情報発信サイトにまとめている。


 危険性を判断するポイントとして、相手の行動について「自分の思い通りにならないと怒る」などのチェック項目を紹介。また暴力がいったんおさまって優しくなるケースもあるが、それは「ハネムーン期」で、その後ストレスが蓄積して暴力が再開され、エスカレートしていくおそれがあることも指摘している。


 「まず警察に相談を」として、どのような被害に遭ったのかの証拠となるメールや写真などを保存しておく必要性も強調。警察以外の相談窓口や支援制度も紹介している。


 ストーカーは加害者が身近な人であることが多いため、被害者が被害届の提出などをためらうことが見受けられるという。そのため警察では、被害者の意思決定を的確に支援することが大切とされている。【山崎征克】



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  • 「自分の思い通りにならないと怒る」>怒るまでは普通な希ガス。 ただそれが物理的行動=暴力行動になるような人間なら男女問わず、別れるのが吉。
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