取材に応じる国立健康危機管理研究機構(JIHS)の脇田隆字副理事長=4月21日、東京都新宿区 感染症対策をけん引する専門家組織「国立健康危機管理研究機構(JIHS)」の脇田隆字副理事長が4月、時事通信の取材に応じた。脇田氏はJIHSが同月発足したことに、「政府や国民に科学的知見をしっかりと提供していく」と語った。
脇田氏はウイルス学が専門。2018年からJIHS前身の国立感染症研究所(感染研)で所長を務め、コロナ禍では厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の座長などとして初期から対応に当たった。
コロナ流行時は情報の収集や分析、知見の提供という一連の活動が十分ではなかったと指摘。課題としてワクチンや治療薬の研究提供体制を挙げ、「反省がJIHS設立につながった。医師が診療をしながら、(治療薬などを開発するための)臨床研究もできる体制を構築する」と意気込む。
JIHSは、感染研と病院機能も有する国立国際医療研究センターが統合して発足した。「ワクチンなどの研究開発から治療、人材育成まで総合的な機能が求められている。感染症を含めた健康危機に対応していく」と力を込めた。
政府は「平時の備え」を重視するが、脇田氏は「感染症対策の難しさは、平時には患者がいないことだ」と指摘。JIHSは風邪などの急性呼吸器感染症について観測を始めており、「幅広くデータを取ることで、未知の感染症発生など異常を感知できる。政府に対し着実に科学的助言を行っていく」と強調した。

取材に応じる国立健康危機管理研究機構(JIHS)の脇田隆字副理事長=4月21日、東京都新宿区