「最小限の労力で産業が回るプロダクトを生み出したい」スマートロック市場のパイオニア・フォトシンスが描く未来の風景とは?

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2025年05月16日 21:50  TOKYO FM +

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「最小限の労力で産業が回るプロダクトを生み出したい」スマートロック市場のパイオニア・フォトシンスが描く未来の風景とは?
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。5月10日(土)の放送は、株式会社Photosynth(フォトシンス)の代表取締役社長・河瀬航大(かわせ・こうだい)さんが登場。スマートロック市場の今後の展望や、河瀬さんがイメージする近未来の風景について伺いました。


(左から)河瀬航大さん、笹川友里


河瀬さんは2011年に筑波大学理工学群卒業後、株式会社ガイアックスに入社し、ソーシャルメディアの分析・マーケティングに携わります。2014年に株式会社Photosynth(フォトシンス)を創業、代表取締役社長に就任し、スマートロックAkerunを主軸としたIoT事業やギグワーカーを活用した施設運営BPaaS(BPO as a Service)事業を手掛けます。経済産業省が所管するNEDOが初めて認定した公認SUI(Start Up Innovator)第1号でもある。また、「Forbes 30 Under 30 Asia 2017」では、アジアを代表する人材としてConsumer Technology部門で選出。現在は筑波大学非常勤講師も務めています。

◆病院や学校などにもスマートロックを活用

先週の放送では、河瀬さんが法人向けスマートロック「Akerun」の誕生秘話、フォトシンスの業務内容について語ってくれました。今回は、スマートロック市場やフォトシンスの今後の展望について伺います。

現在、Akerunの導入企業は累計7,000社を超え、都内のオフィスワーカーの8.4%が利用しています。そこで、笹川が「これから、スマートロック市場はどのように成長していくのでしょうか?」と質問すると、河瀬さんは「スマートロックが広がっていく“横の成長”に加えて、スマートロックが設置された空間そのものが、どんどんデジタル化していくような“縦の成長”もあると考えています」と推測。

その理由として、河瀬さんによると、これまでスマートロックを利用する企業はIT系やスタートアップなどが中心で、利用場所も主にオフィスでしたが、近年では学校、病院、行政機関、災害備蓄庫などにも導入が進んでいるそうで、「私たちがまったく想定していなかった分野にもニーズがあることがわかったので、今後もさらに導入を広げていきたいです」と意欲を見せます。

また“縦の成長”として、ハードウェアを自社開発できる強みを活かし、スマートロックを設置した空間にAIカメラや決済機能など、さまざまなサービスを組み込んでいけるとし、「これからは、空間の無人化・省人化に寄与するようなサービスを展開していきたいと思っています」と力を込めます。

一方、スマートロック導入を検討する企業から多く寄せられるのが「セキュリティ」に関する相談です。近年サイバー攻撃は世界的に増加し、その手口もますます巧妙化しています。そこで、フォトシンスでは投資を進めながら情報セキュリティ対策にも注力していると言い、「セキュリティ専任のエンジニアを複数配置し、常にセキュリティレベルを向上させています。加えて、第三者のセキュリティ機関によるチェックも受けています」と説明します。

Akerunの登場により、日本の住居やオフィスにおける“鍵”の概念は大きく変化しました。それゆえに「家やオフィスを守るって責任重大な業態ですよね」と慮る笹川に、河瀬さんは「(鍵の保有者だけが)開け閉めできることが当たり前なので、間違って開くことは許されないですし、開けたいときに開かないのも許されません。そのため、裏側ではかなりの投資とさまざまな問題解決の歴史があります」と感慨深げに語ります。

◆デジタルの力で無人化・省人化をサポート

Akerunのほか、ギグワーカープラットフォームを通じて清掃やコミュニティスペースの運営などを提供するサービス「Migakun(ミガクン)」や「Akerunデジタル身分証」など、さまざまなサービスを展開するフォトシンスの今後の展望について伺うと、「日本は“ものづくり”が支えている国だと感じているので、その領域でIoTという新しいテクノロジーを活用していきながら、グローバルで戦えるベンチャーにしていきたいです」と言及。現在の円安についても触れ、「日本のスマートロックは品質が一番いいのに『安い』と言われるぐらいなので、逆にチャンスだと考えています」と声を大にします。

最後に、河瀬さんが思い描く近未来の風景について伺うと、「本来は明るくて楽しい話ができればいいのですが……」と前置きしつつ、少子高齢化による労働人口の減少で、これまでは人がいることが当たり前だった産業も、今後は“人がいないこと”を前提としたサービスが求められると言い、「人による接客を受けることは、もちろんホスピタリティという観点からも一番ありがたいのですが、そうは言っていられない世の中がやってくると思います」と強調。

そうしたなかで「最小限の労力で産業が回っていくようなプロダクトをどんどん生み出していきたいと思っていて、まさに無人化・省人化を救い出すパッケージを、IoTやハードウェア、ITによって作り出したいと思います」と話していました。

次回5月17日(土)の放送は、ライオン株式会社執行役員全社デジタル戦略担当の中林紀彦さんをゲストに迎えてお届けします。デジタル技術を使って「習慣を科学する」ライオンの具体的なDXの取り組みについて伺います。

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5月10日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)
聴取期限 2025年5月18日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。

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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里

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