“失言”で辞任 なぜ後を絶たず? 過去にはすぐさま更迭も、永田町に伝わる失言防止6つの「た」とは?【Nスタ解説】

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2025年05月22日 21:10  TBS NEWS DIG

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「コメは買ったことがない」などと発言した問題で辞任した江藤前農水大臣。失言よって辞任に追い込まれる閣僚は過去にもいましたが、なぜ後を絶たないのでしょうか?

【写真で見る】記者に対して「頭悪いね」 名前間違いも… 過去にあった政治家の“失言”

後を絶たない“失言大臣”

高柳光希キャスター:
たった一度の失言が、現職議員たちを更迭へと追い込んできました。

今回は5月18日でした。政治資金パーティーでの江藤前農水大臣の「コメは買ったことがない」という発言。これを受けて21日、事実上の更迭にまで追い込まれました。そこに新農水大臣として抜擢されたのが、小泉進次郎氏です。室井さん一連の更迭劇は、今後の政局にどんな影響が考えられますか?

TBS報道局 政治部デスク 室井祐作:
今回の更迭の流れを見てみますと、野党にとっては一つの成功体験ができたのではないかと思います。これまでの閣僚の辞任と違い、今回は立憲民主党・維新の会・国民民主党など野党5党が、結束して江藤前大臣の更迭を求めたことによって潮目が大きく変わりました。

少数与党の状況下で、野党が江藤前大臣の不信任決議案を提出すれば、衆議院では野党の方が議席が多いので可決される状況でした。これが大きな要因となって、江藤前大臣の辞任に繋がったので、「野党が結束さえすれば大臣を辞めさせられる」という一つの成功体験を得ることができたと思います。

それはつまり、今後内閣不信任案を野党が結束して出せば、可決されるという状況です。失言一つで内閣が吹き飛んでしまう可能性があることを見せつけた、と言えると思います。会期末まで残り1か月の中、内閣の不信任案が出るかどうかというところで、石破内閣はより緊迫した状況下での政権運営を強いられると思います。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
「コメ」という非常に関心の高い問題で失言があったということと、このままでは目前に控える参議院選挙に影響を与えるということで、更迭せざるを得なかったと思います。裏を返せば、小泉大臣には参議院選挙に向けた体制の立て直し、自民党の人気回復が求められるのだと思います。

井上貴博キャスター:
私自身公の場で発言する機会のある仕事をしていて、「この発言をしたらどう受け取られるだろうか」と考える癖を持っています。政治家の皆さんはもっとお持ちのはずなのに、なぜ失言が繰り返されてしまうのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
例えば、毎日2回記者会見をしている林官房長官は「絶対失言しない」ことで有名です。みんなガイドラインは大体わかっているが、地元であったり、自民党のパーティーなどで少し踏み外すということがいつも失言が起きるパターンです。いずれも日常的に失言してるわけではありませんので、状況によっては少し油断してしまうというケースが多いです。

失言防止 6つの「た」とは?

高柳キャスター:
永田町に伝わる、「失言防止の極意」というものがあります。「気をつけるべき6つの『た』」これはどういったものですか?

TBS報道局 政治部デスク 室井祐作:
政治家の失言のほとんどが、政治資金パーティーでのリップサービスや、ウケ狙いで起こります。そういう場での失言に気をつけるために、伊吹元衆院議長の議員への訓示があります。

伊吹元衆院議長の訓示 気をつけるべき6つの「た」

〜自分の失言で影響は?〜
▼立場をわきまえる

〜ついついリップサービス〜
▼旅先
▼多人数の場

〜こんな話は要注意〜
▼他人の批判
▼例え話
▼正しいと思っていること

江藤前大臣は、出張先での発言や多人数でのパーティーでの発言、さらには大臣としての立場をわきまえなかった発言でした。政治家が失言するときは、大体これに当てはまると言えると思います。

出水麻衣キャスター:
民間企業だとコンプライアンス研修がありますが、永田町ではそのような研修はあるのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
新人議員を対象にした研修はありますが、実際は先輩に直接指導を受ける、オンザジョブトレーニングで仕事をしながら覚えていくということが多いです。そのため、人によって非常に硬い人と何回も失言する人が出てきます。

高柳キャスター:
過去にも失言をした議員がいました。まずは第2次岸田内閣で法務大臣を務めていた葉梨衆院議員です。2022年の都内のパーティーで、「法務大臣は死刑のはんこを押す地味な仕事」という発言がありました。

TBS報道局 政治部デスク 室井祐作:
このときは一時、岸田前総理が葉梨氏を続投させようとして判断が少し遅れました。その結果、発言から2日後に更迭されることになりました。

当時、岸田前総理は東南アジアの出張を控えていて、私は取材に同行するために政府専用機に荷物を預けて乗り込もうとしたときでした。しかし、岸田前総理の決断が遅れた結果、外遊が1日延びてしまったということがありました。

当時は旧統一教会の被害者救済に向けて、政府が一丸となって取り組もうとしていた最中での、所管大臣の1人の発言だっただけに、更迭は避けられませんでした。

井上キャスター:
総理は任命権者として、どこで判断をするのか、1日でも数時間でも変わってしまいますね。

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
様々なバリエーションがあります。安倍政権のときは菅官房長官や今井秘書官がとても危機管理にうるさかったので、かなり早い段階で更迭を決めることがありました。

また政治家ですから、情があって「もう少しやらせたいな」というのがあると、少しタイミングが遅れることもあります。それが政権にとってダメージになるというのは、今まで何度も繰り返されてきたことですね。

井上キャスター:
今回の石破総理の判断はどうでしたか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩氏:
今回の判断は、問題を少し軽く見ていたことと、野党側がこんなに結束するとは思っていなかったという情報不足もありました。加えて、今一生懸命やっているところだからもう少しやらせたいという温情もあったと思います。

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<プロフィール>
室井祐作
TBS報道局 政治部デスク 元官邸キャップ
過去石破氏の番記者を担当

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

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