



私は後部座席で流れていく景色を眺めていました。ハンドルを握る夫のカンタは、妊婦の私を気遣いながら運転してくれています。地元の見慣れた風景が私の記憶を呼び起こし、私はふいにサクマのおばあちゃんのことを思い出しました。



両親が私たちのことを温かく出迎えてくれます。その日は身体のラインが目立つワンピースを着ていたため、母は私のお腹のふくらみを見て目を細めていました。私も久しぶりに実家に帰ることができて、ホッとした気持ちになります。


中学生のときの出来事を思い出すと、「今なら怒鳴り返してやるのに」なんて考えてしまいます。そして「息子さんはどうなったのかな」とも……。田舎なので地域の情報は筒抜けですが、結婚したという話は聞かないのでおそらくそのままなのでしょう。ただもう私には何の関係もないことです。
あの事件があって「結婚」そのものに恐怖心を抱いていた私でしたが、優しいカンタと出会って幸せになることができました。出産後はバタバタすると思うので、今のうちに地元でのゆったりした時間を楽しみたいと思います。
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原案・ママスタ 脚本・motte 作画・金のヒヨコ 編集・井伊テレ子