ジョージ・クルーニーの毛染めにNO! 一方で「ナチュラル派」になれないアラ還女性たち

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2025年05月27日 22:10  All About

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俳優のジョージ・クルーニーが白髪を染めてブルネットにしたところ、「ナチュラルでない」と大不評。グレーヘアを楽しむ女性が注目され、「アンチエイジング派」が時代遅れのような空気も漂うが、アラ還女性たちは実際はどう考えているのだろうか。
俳優のジョージ・クルーニー(64歳)が髪を染めて公の場に出たところ、「ナチュラルではない」「あの銀髪がすてきだったのに」と非難されたらしい。だが実はこれは舞台出演の役作りのため。

本人も「年配の男性が髪を染めることほど、老けて見えることはないからね」と染めるのを嫌がっていたらしく、現在は本来のグレーヘアに戻っているようだ。

このところハリウッドの女優たちも、続々と白髪を染めずに堂々と人前に出るようになっている。外見のアンチエイジングに躍起になっていること自体が、時代遅れとなっているのだろうか。

シワ改善にハマって

「ネットを見ていると、やたらとシワ改善のための化粧品のCMが流れてくるんです。私がそういうのをよく見ているせいだと思うんですが……」

そう話すのはユウコさん(56歳)だ。周りを見てもテレビを見ても、とにかく「シワ」が気になってたまらない。それは自分がシワに悩んでいるからだという。

他人から見たらほとんど気にはならないのだが、本人はひどく気にしている。そういうことは年齢を問わずにあるものだ。シワやシミもその類いなのだと、もちろんユウコさんも分かってはいる。だが気になるものは仕方がない。

「パート先で同世代の女性が、シワもシミもないつるんとした肌だと本当に羨ましくて。どういう化粧品を使っているのか、つい聞いて買ってしまう。どれだけお金をつぎ込んだか分からないくらいです」

老けて見られたくない。年齢より若く見られたい。若くなくなったことを実感しているからこそ、人はそう熱望するのだろう。その裏には「老いは恥ずべきこと」「老いはかっこ悪いこと」という刷り込みがある。

「老いは汚い」というイメージ

「私個人は、老いは汚いというイメージがあるんです。その象徴がシワとシミ。肌が汚くなっていく恐怖感とどう闘えばいいのか分からない。化粧で隠す手はありますが、年をとると化粧がきれいに乗らないから、隠そうとすればするほど汚くなっていく。そういうのが耐えられない」

かといって美容施術をするお金はないとユウコさんは言う。次々とシワ改善の化粧品を買う母に、20代半ばの娘は否定的だ。

「やるならいっそきちんとお金をためて美容皮膚科などに行って、きちんと施術を受ければいい。中途半端に次々と化粧品に頼るなんて、結局は無駄遣いじゃないのと言われています。でもそこまでは思い切れないんですよね」

娘からは自己認識が甘い、年をとるのは自然の摂理と説教までされているが、ユウコさんの気持ちは晴れようがない。

シワの刻まれた顔では……

一時期、老いを恐れてプチ整形にはまったというマチコさん(62歳)。ヒアルロン酸やボトックスなどの注射をメインに、シワやたるみを改善してきた。

「更年期症状がおさまって、これから人生を謳歌(おうか)しようとしたら、急に顔のたるみやシワが気になってきたんです。学生時代の友達に会っても、みんな若々しくて、自分だけが深くシワの刻まれた顔をしてる。これじゃ楽しめないと思いました」

人生はまだこれからだと思っていたが、実際には「老いていくばかりで、ちっとも楽しくなかった」という。

そんなとき職場の友人が教えてくれたのがメスを使わず、注射だけで効果があるというプチ整形だった。

プチ整形へ踏み出した結果

「けっこうはまりました。あっという間にシワが改善されていくし、そうなると表情も明るくなる。毎日が楽しいんです。

私は若いときに離婚して、成人した息子もすでに独立していましたから、これからは恋もしたいと思っていた。シワがなくなっていくと、美容院にも頻繁に行くし洋服を買うことも増えた。デートの申し込みもありました」

ところが、シワが改善されると、さらに「もっと直したい欲求」が強まっていったという。最初はほうれい線さえ消えればと思っていたのに、それが消えれば眉間や額のシワが気になっていく。顔全体がたるんでいるから、今度は超音波照射もやってみようかなと考える。

「はたと気づいたら、1年もたたないうちにボーナス一回分くらい平気でつぎ込んでいました。そのタイミングで、親の介護も始まってしまった。離れた親元へ月に1回、通うだけでも交通費がかなりかかる。しかも親にはろくに貯金がないことも分かって……。

プチ整形なんてしている場合じゃなかったんです。ひどく情けなく、虚しい気持ちになりました」

整形どころか恋する気持ちにもなれなかった。施術をやめて1年たったら、前よりさらにシワが目立ってきたが、「老い」と向き合うことすら避けた。

「2年前に父が亡くなり、今は母を引き取って同居しています。母は80代後半ですが、今も元気で、私が仕事に行っている間に家事万端済ませて、さらに散歩に行ったり地域のサークルにも参加したり。母にとっては知らない土地なのに、半年もしないうちになじんでいました。

明るくて元気な母は人気者で、老いなんて気にしていない。そういう生き方もあるんだなと感じ入りました」

それでも今日もマチコさんは鏡を見てはため息をつく。肌の老化改善よりもっと大切な「何か」があるのは分かっているが、老化をまだまだ受け入れることはできそうにないという。

亀山 早苗プロフィール

明治大学文学部卒業。男女の人間模様を中心に20年以上にわたって取材を重ね、女性の生き方についての問題提起を続けている。恋愛や結婚・離婚、性の問題、貧困、ひきこもりなど幅広く執筆。趣味はくまモンの追っかけ、落語、歌舞伎など古典芸能鑑賞。
(文:亀山 早苗(フリーライター))

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