国民民主の失速、“進次郎効果”で主戦論も 内閣不信任案で解散はあるのか?

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2025年06月07日 06:02  TBS NEWS DIG

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最新のJNN世論調査(5月31日、6月1日)で政党支持率に変化があった。

【データを見る】主な野党の支持率 変遷

自民党の支持率は前回調査(5月3日、4日)と比べ0.8ポイント上昇し24.3%、立憲民主党は2.6ポイント上昇し8.2%となった。その一方、日本維新の会は2.0ポイント下落し2.3%に、最も減り幅が大きかったのが国民民主党で3.4ポイント下落し6.8%となった。立憲が国民の支持率を上回るのは去年の11月以来7か月ぶりだ。何があったのか。

7か月ぶりに野党2位に転落 国民民主“急ブレーキ”のわけは

去年10月の衆院選で「手取りを増やす」をスローガンに議席数を伸ばした国民民主党は、去年12月から野党第1党の立憲よりも支持率を上回り、議席数では野党第3党でありながら支持率では野党1位だった。この間、玉木代表の不倫問題もあったが、問題発覚後の去年12月調査で57%が「代表を続けても良い」と答え、「辞任すべき」の35%を大きく上回った。

不倫問題をもろともせず、勢いがあった国民民主党になぜ陰りが見えたのか。きっかけは2つあった。5月14日、参院比例代表の公認候補者を4人を発表した。候補者の中には過去不倫問題がクローズアップされたことなどがある候補者や「反ワクチン活動」が問題視された候補者などが含まれていたことで不信感が広がった。

もうひとつは、世論調査直前の5月28日、小泉農水大臣との委員会質疑で、備蓄米について「1年たったら動物のエサになるようなもの」などと発言し釈明に追われた。5年持ち越した備蓄米は「飼料用米」として売り渡すため、政府が随意契約により売り渡した21年産米についてこのように表現したものだが、「農家に失礼だ」との批判が相次いだ。

一方、野党第2党の維新の支持率も低迷している。

維新は与党と政策協議を進め、かねてから公約に掲げた高校授業料の無償化を実現するなど「実」を得てきたが、支持率は上向かず、参院選に向け正念場を迎えている。

今回の調査では、れいわ新選組の支持率が3.1%となり、維新(2.3%)を上回り野党3位となった。れいわは女性支持率では7位なのに対し、男性支持率では4位となり比較的、男性支持率が高い結果となっている。30歳代では国民民主(13.0%)につぐ2位(10.9%)となっている。れいわの場合、浮き沈みのあるほかの野党と比べ、低位であるものの支持率が安定しているのも特徴だ。

内閣支持率は微増 背景は備蓄米か?政権の命運握るコメ問題

石破内閣の支持率は前回調査から1.3ポイント上昇し、34.6%となった。総理が新人議員に商品券を配っていた問題などで4月には過去最低の支持率(30.6%)となっていたが、2か月連続で上昇に転じている。政権幹部は「微増で安堵した」と語っていて、支持率は底を打ったとの見方も出ている。

「小泉効果でしょう」
政府関係者がこう分析するように、今回支持率が上昇した要因のひとつは、失言により更迭された江藤前農水大臣の後任に、小泉進次郎農水大臣が就任した「期待感」があるのかもしれない。

5月31日随意契約によって売り渡した5キロ2000円程の備蓄米が大手小売り店に並んだ。小泉大臣が就任して10日後のことだった。連日、備蓄米を求め客が列をなす映像がテレビで流れ、ネット予約も即売り切れる状態だという。多くは22年産米(古古米)で、6月6日からはコンビニなどで21年産米(古古古米)も販売が開始された。ただ有権者は意外と冷静にみているようだ。

備蓄米を「買いたい」と答えた人は「是非買いたい」と「どちらかといえば買いたい」を含め48%、「買いたくない」と答えた人も「あまり買いたくない」と「全く買いたくない」をあわせて48%と拮抗する結果となった。こちらはどの世代でも同じような傾向になっている。男女別ではやや男性のほうが「買いたい」人の割合が多く51%だった。(女性の「買いたい」は44%)

さらに今後、銘柄米の価格が下がると思うか聞いたところ「下がらない」と考えている人のほうが多く56%だった。

政府備蓄米は2025年1月時点で、91万トンあったが、これまで3回の入札で合計約31万トン、そして小泉大臣が随意契約で30万トンを放出した。残りは約30万トンで小泉大臣は「需要があれば全部出す」方針を表明している。

しかしこれは弥縫策に過ぎず、価格の安い備蓄米をこのまま放出し続けることはできない。なぜここまでコメが高騰したのか検証し、抜本的な改革を進めなければ根本的な解決に繋がらず米価は下がらないのではないか。

その抜本的な改革について話し合う閣僚会議の初会合が5日、官邸で開催された。まずは米価高騰の分析や課題のとりまとめが主題だが、中長期的なコメ政策についてのポイントは減反から増産への転換、またそれに伴う農家への保証のあり方になる見通しだ。

現在、農家が再生産できる価格を維持するため、コメの生産量をおさえているが、今後増産に舵を切るべきだと考える人は今回の調査でも9割近くに上っている。日本人の主食であるコメの高騰対策は物価高対策の筆頭格で米価が下がるのか、今後の政権の命運を左右する。

提出されれば衆院解散も 内閣不信任案は出す?出さない?

通常国会の終盤に野党が内閣不信任決議案を提出するのはこの時期の“風物詩”とされてきたが、今回は少数与党となり状況が異なる。野党が一致すれば不信任案は可決されるため、石破総理は憲法の規定により内閣総辞職か衆議院の解散を迫られる。石破総理は不信任案が提出された場合には、採決をまたず衆院を解散することも検討している。解散すれば夏の参院選挙とのダブル選挙となる可能性が高い。

自民党幹部から「不信任案が可決されれば国民に堂々と信を問うべきだ」(鈴木俊一総務会長)と主戦論もあがるが、その背景には野党、とくに提出主体となる立憲民主党に対し提出しないよう牽制する意味合いが強い。

さらに、今国会を通して少数与党の“悲哀”を散々味わった自民党幹部は、チャンスがあれば解散をうって、衆議院で少数与党から脱したいという思いも強い。

これまで述べてきたとおり、内閣支持率は底を打った感があり、“小泉効果”による今後の期待感も出てきている。少し前まで脅威だった国民民主党も失速している。今、選挙をしても、与党がそんなに負けないのではないかと見る向きが自民党内にある。

世論調査では「提出すべきではない」がやや上待っているがほぼこちらも拮抗している。

一方、立憲民主党の野田代表は不信任案提出について「総合的に判断する」としつつ、“トランプ関税”への政府対応を鑑み、不信任案を提出することで「政治空白をつくらせることが責任ある態度か」と消極的な態度をとってきた。与党と年金改革関連法案について党首会談で合意し、審議を重ねている最中でもある。

さらに、立憲の議席数(148)だけでは過半数(233)に達しないため、可決するには維新(38)や国民民主(27)などの賛同を得る必要がある。野党をまとめきれず不信任案が否決されれば、野田代表の責任論につながる恐れがある。なにより“衆参ダブル選挙”となれば、候補者擁立や各党との調整、資金繰りなど、高いハードルがあり、そのトリガーを引くことに野田代表自身いま相当迷っているのだろう。

与党と立憲が合意した年金改革法案が成立するのが最短13日、その後石破総理がG7サミットにむかい不在となるため、総理が帰国した18日〜20日までの間に、提出するかどうか。国会は最大のヤマ場を迎えることになる。

【6月JNN世論調査の設問と回答】
●石破内閣の支持率は34.6%(前回調査より1.3ポイント上昇)。不支持率は62.0%(前回調査より0.1ポイント下落)

●政党支持率は、自民党24.3%(前回より0.8ポイント上昇)、立憲民主党8.2%(前回より2.6ポイント上昇)、日本維新の会2.3%(前回より2.0ポイント下落)、国民民主党6.8%(前回より3.4ポイント下落)。

●5キロ2000円前後の21年産米と22年産米の備蓄米について「是非買いたい」は17%「どちらかといえば買いたい」は31%「あまり買いたくない」は26%「全く買いたくない」は22%。

●今後備蓄米以外の銘柄米などの価格は「下がると思う」が35%、「下がらないと思う」が56%

●今後のコメの増産に「賛成」は88%、「反対」は5%

●年金改革法案をめぐり基礎年金の底上げを「盛り込むべき」は40%、「盛り込むべきではない」は41%

●望ましい政権のあり方は「自公政権の継続」は43%、「今の野党を中心とする政権に交代」は41%

●ほかの政党を自公連立に加えるとしたらどこが望ましいかについて「立憲民主党」16%、「日本維新の会」14%、「国民民主党」16%、「それ以外の党」12%、「少数与党のままでいい」30%

●野党が結束して内閣不信任案を「提出すべきだ」40%、「提出すべきではない」45%

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。5月31日(土)、6月1日(日)に全国18歳以上の男女2385人〔固定834人、携帯1551人〕に調査を行い、そのうち44.3%にあたる1056人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話507人、携帯549人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査へのご理解、ご協力よろしくお願いします。

TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作

このニュースに関するつぶやき

  • 米で簡単に騙される国民と、化けの皮が剥がれた国民民主党で。 次回選挙も自民党で安泰なんやろなぁ(呆れ)。
    • イイネ!6
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