2025年WRC第6戦ラリー・イタリア・サルディニア セバスチャン・オジエ(トヨタGRヤリス・ラリー1) 6月7日、イタリアのサルディニア島にて、2025年WRC世界ラリー選手権の第6戦『ラリー・イタリア・サルディニア』のデイ2が行われ、スペシャルステージ(SS)12を終えた時点で、TOYOTA GAZOO Racing WRTのセバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が首位をキープした。日本の勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は総合7番手につけている。
サルディニア島のグラベル(未舗装路)が舞台となる第6戦、金曜日はラリー1出場者の約3分の1がアクシデントに見舞われた。なかでも、マシンに大きくダメージを負ったマルティン・セスクス(フォード・プーマ・ラリー1)はデイ2の復帰が叶わなかったが、グレゴワール・ミュンスターとジョシュ・マッカーリーン(ともにフォード・プーマ・ラリー1)、ティエリー・ヌービル(ヒョンデi20 Nラリー1)はふたたびグループに戻った。ただ、土曜日を迎えても容赦のない展開は続いた。
■初優勝が見えたフルモーに無念のトラブル
この日も晴れに恵まれたサルディニア島。気温20度半ばとなった朝のタイヤ選択は、ソフトとハードのミックスが基本となった。出走順の早い選手ほどハードを多めに選ぶ傾向となり、狭く高速なSSでのタイムアタックが始まった。
デイ1首位でもっとも有利な出走順を得たトヨタのオジエは、2番手アドリアン・フルモー(ヒョンデi20 Nラリー1)との差がわずか2.1秒でデイ2をスタートしたが、この日1本目のSS7でステージウインを飾り、早々にギャップを7.4秒に拡大した。
さらに続くSS8では、オジエを追っていたフルモーにタイヤ内圧低下のトラブルが起きタイムロス。フルモーはラリー1フル参戦3年目でヒョンデに移籍し、初優勝も狙える状況だったが、惜しくもここで優勝戦線から脱落してしまった。さらにこの時、フルモーがタイヤ交換作業のためにマシンを停める際に巻き上がった砂ぼこりによって視界不良が生じ、オジエは30秒近くを失う事態となったが、のちに適切な修正タイムが発行されることに。その結果、SS8の最速はオィット・タナック(ヒョンデi20 Nラリー1)となった。
そして、午前最後のSS9でオジエはふたたびステージウインを飾り、リードを15.0秒に広げた。2番手には、フルモーに代わってタナックが浮上し、3番手はサミ・パヤリ(トヨタGRヤリス・ラリー1)をかわしたカッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)となって折り返しを迎えた。
■トヨタ勢にタイヤトラブル続く
ミッドデイサービスを経て迎えた午後のステージは、午前の3本を再走する。2走目は、1走目で路面の砂が掃けているため、出走順によるタイム差は縮まる傾向にある。気温は30度を超え、各車はハードのみの選択に揃った。
しかし、2走目は路面の攻撃性が増したか、SS10では勝田に、続くSS11でもエルフィン・エバンスとサミ・パヤリ(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)にタイヤトラブルが起き、総じて1分以上のタイムロスとなってしまう。さらに、フルモーはSS11のタイトセクションで横転してしまい、デイリタイアを余儀なくされた。
狭いステージを高速で駆け抜けながらも、タイヤマネジメントに気を配らなければならない午後となったが、8度の王者オジエと2019年王者のタナックが首位争いを展開。SS10とSS11はともにタナックが最速タイムを刻み、ギャップは10.7秒まで縮まった。
迎えたデイ2ラストのSS12では、直前2本のSSでタイヤをマネジメントしていた様子のオジエがペースアップし、0.4秒差でステージウインをあげた。これでオジエは、総合でのリードを11.1秒に広げ、一方で2番手タナックと3番手ロバンペラとの差は44.4秒となった。
また、日本の勝田はSS10でのタイヤトラブルで4分近くタイムを失った。ただ、以降は安定したペースでSSをクリアしていき、他にもアクシデントで後退したクルーが多かったことも相まって、総合7番手まで順位を回復している。
明日はラリー最終日となり、総合優勝争いに加えて、この日のみの順位で選手権ポイントを争う“スーパーサンデー”も実施される予定だ。デイ3は、SS13〜16の計4本(計77.78km)で争われる。
[オートスポーツweb 2025年06月08日]