写真/産経新聞社ガンダムシリーズの最新作『機動戦士Gundam GQuuuuuuX (ジークアクス)』が話題を呼んでいる。今年1月に劇場先行版が公開されると、興行収入30億円を超えるヒットとなり、6月20日より再上映が決定。ファーストガンダムの主要キャラも本作に登場。SNSでは「スタジオカラーとのコラボがもたらす独創的な演出が素晴らしい」「従来のファンだけでなく新規層も楽しめる構成」と称賛する声が多く上がる一方、「過去作の雰囲気をなぞっているだけで斬新さが足りない」「物語の結末が唐突すぎて、伏線の回収が不十分では?」と辛らつな意見も。まさに賛否の声で盛り上がっている。
団塊ジュニア世代で、ファーストガンダムをリアルタイムで鑑賞していた鈴木おさむ氏は「少年時代に夢見ていたガンダムの“妄想”が詰まっている」と興奮した様子で語るが、その心は?
(以下、鈴木氏による寄稿。作品のネタバレを含みます)
◆ガンダムファンを震撼させるサプライズ
今、アニメ『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』が大きな話題を呼んでいる。アニメ本編の放送に先駆け劇場版が公開され、なんと興行収入は30億円を突破する大ヒットを記録。
そして、この映画には、ガンダムファンを震撼させるサプライズが待っていた。だが、みんな、まだ映画を見ていない仲間のためにSNSにネタバレを書かなかった。
そのサプライズとは何か。あえて言います。なぜなら、これは団塊ジュニア世代としてどうしても伝えたい衝撃だからです。それはなんと、「シャア・アズナブルが赤いガンダムに乗って登場する」というもの。あの“赤い彗星”シャアが、赤いザクではなく赤く塗装したガンダムに乗って出撃するのだ。
この作品は、スタジオカラーが共同制作で参加し、監督は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の鶴巻和哉。脚本・絵コンテ・デザインワークスに至るまで庵野秀明が関わっていて、なんと、本人が執筆したプロットが丸ごと採用されているのだから尋常じゃない。
◆「帰還せよ」あの頃の熱を、いま一度胸に
アニメ本編の物語はこう始まる。スペースコロニーで暮らす女子高生・マチュが、偶然出会った最新鋭モビルスーツ「GQuuuuuuX」に乗り、非合法の決闘競技「グランバトル」へ身を投じる。1話ではマチュとGQuuuuuuXの出合いが描かれるが、2話になると物語は突然、過去へ飛ぶ。
2話ではシャア・アズナブルが赤いザクに搭乗して登場。やがて白いガンダムを奪い、自らの象徴色“赤”に塗り替え、戦場を駆け抜ける。そして彼の活躍によって戦争は終わるも、シャアは姿を消す──という展開。極めつきは、2話ラストに表示される「1話に続く」の文字。庵野秀明らしい“時空を攪乱する仕掛け”だ。
この作品には、僕ら団塊ジュニア世代が少年時代に夢見ていたガンダムの“妄想”が詰まっている。シャアがガンダムに乗ったら? もし、赤いガンダムが公式に登場したら? 昔のモビルスーツと今のガンダムが肩を並べて戦ったら……?
そんな、おもちゃ屋のガンプラ棚の前で膝をついて妄想していた日々の続きが本作にある。このアニメは、過去の伝説に新しい熱を注ぎ込み、ガンダムを再定義している。ノスタルジーで終わらせない、むしろ未来を託すリレーとして作られているのだと思う。
団塊ジュニア世代よ。あの頃の熱を、いま一度胸に。この作品は、“見逃すな”ではない。“帰還せよ”だ。
【鈴木おさむ】
すずきおさむ●スタートアップファクトリー代表 1972年、千葉県生まれ。19歳で放送作家となり、その後32年間、さまざまなコンテンツを生み出す。現在はスタートアップ企業の若者たちの応援を始める。コンサル、講演なども行っている