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「好き」を貫いた。21年東京オリンピック(五輪)柔道男子100キロ級金メダルのウルフ・アロン(29)が23日、新日本プロレス入団会見に出席した。「なぜプロレスをと言われたら、好きだから」。電撃入団の理由を、こう言い切った。
柔道をとことん極めてきた。21年東京五輪で金メダル、24年パリ五輪にも出場した。好きなことは、勝つこと。今年4月、個人戦ラストの大会でもその姿勢は不変だった。
体重無差別で日本一を決める全日本選手権。3回戦で敗退し、会場から大きな拍手を浴びた。充実の表情を浮かべるかと思いきや、目をぎゅっとつむり、天を仰いだ。「もっともっと上を目指してやってきたので、悔しい。最後の最後まで負けるのは嫌だなと思えた」。大好きな白星を逃したことを悔しがった。
もう1つの「好き」を抑えられなかった。東海大時代に15、16年の講道館杯を連覇。17年に全日本選抜体重別で2連覇し、世界選手権も優勝。畳で大活躍する一方で、別の夢が沸き上がっていた。
毎週、テレビ朝日系列で70年代から続く「ワールドプロレスリング」を録画視聴。「いつか柔道でやり残すことがなくなったら、プロレスをやりたいと思っていた」。学生時代から思い描いていた。パリ五輪を終え、新日本プロレスに直談判。29歳にして夢をかなえた。
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進路も一貫していた。92年バルセロナ五輪78キロ級金メダルで、所属のパーク24で総監督を務める吉田秀彦氏は、引退後に総合格闘家に転向した。08年北京五輪100キロ超級金メダルの石井慧が転身した例もある。五輪金メダリストがプロレス界に転向した前例はないが、あえてその道を進んだ。「僕はまず、そこまで総合格闘技が好きじゃない。自分が好きかどうかが、自分がやる上で一番大事なところ。好きじゃないものをやろうとはならなかった」と思いを明かした。
自身のスタイルにも一致する。柔道時代から「人に対して、自分自身を見せることも、見られることも好き」と、テレビのバラエティー番組などに多く出演してきた。批判の声もあったが、意に介さなかった。今月10日の会見でも、引退後も変わらず「自分自身が表に立ちたい気持ちが強い」と明言していた。
「しゃべるのも好き。体を動かして表現することも好き。全てを表に出したい、さらけ出したいような気持ちが強い」と、新たな道を選択した。デビュー戦は、来年1月4日の東京ドーム。一体どんなパフォーマンスを見せてくれるだろうか。【飯岡大暉】(柔道担当)
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