限定公開( 18 )
歌手中森明菜(59)が33年ぶりに声優に挑戦することが分かった。
読売テレビで放送中のアニメ「あらいぐま カルカル団」(木曜深夜0時54分)にて、6月26日放送の第13話で初登場する、自身の出身地、東京・清瀬市が生んだ国民的VTuberという設定のアイドルキャラクター役を担う。ゲスト出演ながら歌声を披露するシーンもあるといい、このほど本番収録前に応じた取材で「大喜びで受けさせていただいた」という声優仕事への思いや、幼少期のエピソードなどを明かした。
中森明菜が人生2度目の声優仕事に挑戦する。取材開始15分前から報道陣に用意された約30席は満席に。ほのかな緊張感漂う室内に「こんにちは」と番組特製ジャージーに身を包んだ中森がにこやかな笑顔で登場した。少し前に右足を痛めたといい、スタッフに支えられながら歩き、報道陣の前に座る。「中森明菜です。よろしくお願いします」。あいさつが始まると、報道陣も皆立ち上がって一礼。「私、今日は緊張していますよ」。その場の空気をほぐすように照れ笑いを浮かべ、取材会は始まった。
「かわいい役だったので、うれしかったです」。演じるのは国民的に名の知られたアイドルのキャラクター。中森自身をもほうふつとさせる役設定で、歌声を披露するシーンも「あります。ちょっとだけ」。声優姿の詳細について問われると「にゃあっ」や「あはははは」など実際のセリフを生披露しながら説明。「こういう感じです。家で少し練習しましたよ。台本を見て、一生懸命声をつくりました」。
バーチャル世界に生きるVTuberという役柄でもあるが、そちらはあまり明るくないといい「そういうの全然ダメで…。携帯電話もここ2年くらいで初めて持ったぐらいなので」と苦笑い。「私は普通のテレビしか見ないので、異世界にいるような感じでした」と振り返った。
|
|
92年公開のアニメ映画「走れメロス」以来の念願の声優仕事となる。今回は各種配信もあるが、テレビでは深夜に放送される1話1分半というショートアニメ。オファーを快諾した理由からは、アニメのメイン視聴者となるであろう子どもたちへの思いが垣間見えた。
「私は小さい頃は近所の子どもたちのお世話をすることが多かったんです。子どもと遊ぶのがとても好きでした。『何なの、このばばあ!』と言われて『何だこのくそがきめ』とかって返すと仲良くなって、一緒に鬼ごっこだったりで遊ぶことが多くって。相手に合わせて声のトーンを上げたり、喜んでもらえるような子どもとの遊び方は自分の中では心がけていたつもりです。アニメの中でもそれが再現できたらいいなと思っています。親が子どものことが好きだと、子ども優先の家庭になりますよね。そうすると、アニメとかも見させてあげたいという親御さんが多いと思ったので。そこに今、かろうじて(この世界に)残っている私が出てきて『私(中森明菜)が出ても面白いじゃん』って感じてもらえたらいいなと思いました。それはそれは、大喜びで(オファーを)受けさせていただきましたよ」。
今作は1977年放送の名作アニメ「あらいぐまラスカル」の公式スピンオフ作品でもある。質疑応答でラスカルと同じく、現代でもスターである自身について問われると「自分にとっては、よくここまでいさせていただいているなという感じなので」と恐縮して答えた。「ラスカルをはじめ、アニメだったり昔から大事にされているいろんな作品だったりにしても音楽にしても、やっぱり残っているだけあって素晴らしいなと。残すべくして残っているなと思いますので、私がこうやってみなさんの前で演じさせていただいているのも奇跡のように感じます」。
「ラスカル」の思い出については「手を洗うシーンがとても好きです。持っているものを一生懸命ね。溶けちゃうものもなくなるまで洗い物して、それが印象に残っています。大好きです」と笑顔で振り返った。そのほか、当時好きだったアニメについては「『アルプスの少女ハイジ』とか『母をたずねて三千里』とか。カルピス劇場(世界名作劇場)でやっているものが好きでした。テレビにかじりついて見ていましたね。でも、あの時間帯って大体NHKで相撲をやっていてね。(周囲に)相撲をつけられちゃうので『いやああああ』っていつも言っていましたね(笑い)」。
質問をする記者たち1人1人の顔をしっかりと見ながら、丁寧に質問に答える。取材時は本番前ゆえにレコーディングへの不安も正直に口にした。「甘ったれていてしょうがないんですけど、あとからくっつけてくれた方が…と思っていまして」と笑わせつつ「『みんなと並んでしゃべるんだよ』と言われて、汗びっしょりです。何度もNGを出してしまいそう。ご一緒するのはすごく名声のある方たちばかりなので、ご迷惑にならないように。足を引っ張ってしまうのではないかと、今から申し訳ない気持ちでいっぱいです。ファンのみなさんの中には、今回私がゲスト出演してびっくりする方、がっかりされる方、いらっしゃると思うのですが、なるべくご期待に添えるようにアフレコさせていただきますので、どうぞお楽しみに」。
|
|
数々のステージに立って一世を風靡(ふうび)したイメージからは想像できない、人間らしさあふれる回答が続く。最後に、今後の目標について聞いた。「こうしてみなさんにお話を聞いていただけたりするだけで、1人でも多くの方に楽しい時間が過ごせたと思ってもらえるような存在でいられるなら、いけるところまでと言いますか。私のあるべき姿を届けていきたいなと思います。みなさんにどんな姿を届けられるのか。『ダメ』って言われたら『すみませんでした』って言いますよ(笑い)」。
取材が終わると「少しお待たせしてすみませんでした。ありがとうございました」と一礼。久しぶりにかなった声優仕事への喜びと緊張をにじませながら取材部屋をあとにした。
○…「あらいぐま カルカル団」の中田博也プロデューサー 「『あらいぐま カルカル団』は『あらいぐまラスカル』のスピンオフではあるものの、ストーリはオリジナルのコメディー。本編1分、エンディング30秒というとても短いショートアニメです。毎話、どういう驚きを作れるかを追求する中で、現代を象徴するVTuberというキャラクターを、昭和を代表するアイドルの中森明菜さんに演じて頂きたいと考えました。カッコよくて、歌声もミステリアスな中森さんに、キュートなぶりっ子VTuber役を演じて頂けたら、驚きをつくれますし、面白いのではないかと考え、オファーさせていただきました。(オファー時期は)今年の1月ごろ。ダメ元でお願いしたところ、お引き受けいただけました!お引き受けが決まる前から、中森さんに演じていただくことを想定してシナリオを制作し、中森さんに台本をお見せしてご判断いただきました」。
◆「あらいぐま カルカル団」 BS日テレでも土曜午後11時28分から放送中。TVerと、ytv MyDoで見逃し配信も実施中。有料でもHuluやLemino、U−NEXTなどで見ることができる。 あらすじ 全世界人気企業ランキング不動の1位の組織「秘密結社カルカル団」。彼らの目標は世界征服。選ばれしエリートたちはボスの指令を日々遂行している。都内にありながら大自然に囲まれた東京・多摩地区に「秘密結社カルカル団」の多摩支部がある。振るわない営業成績、上がらない給料。それでも彼らは今日も一生懸命任務に励んでおり…。
|
|
|
|
Copyright(C) 2025 Nikkan Sports News. 記事・写真の無断転載を禁じます。
掲載情報の著作権は提供元企業に帰属します。
TOKIOが解散発表 お詫びつづる(写真:ORICON NEWS)611
TOKIOが解散発表 お詫びつづる(写真:ORICON NEWS)611