「台本に名前がない…」戸田恵子さん、朝ドラ『あんぱん』極秘出演の裏側とは?「オンエア見たら違う人になってるんじゃないか」

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2025年07月01日 07:32  TBS NEWS DIG

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「アンパンマンのアンパンマンです」――。ある日かかってきた一本の電話が、国民的ヒーローとの長い旅路の始まりでした。俳優、そして声優として第一線で活躍し続ける戸田恵子さんが、知られざるデビュー秘話から、30年以上演じ続けるアンパンマンへの想い、そして話題の朝ドラ『あんぱん』への極秘出演の裏側を語りました。
(TBSラジオ「パンサー向井の#ふらっと」6月26日放送分より抜粋)

「アンパンマンのアンパンマンです」国民的ヒーローとの出会い

「それいけ!アンパンマン」のアンパンマン役を36年以上務めている戸田恵子さん。その出会いは意外な形だったと語ります。

「アンパンマンはね、オーディションには行ってないから」と戸田さん。事務所から「今度アンパンマンがレギュラーになりますので行ってください」と電話があったそうで、「アンパンマンの何ですか?」と尋ねると、「アンパンマンのアンパンマンです」との返答。「もう忘れもしない、あの電話一本はね」と当時を振り返ります。

他の出演者はオーディションで役を得ていたそうですが、戸田さんは「デモテープを監督とやなせ先生が聞いてくださって、『戸田さんでいこう』って言ってくださったんだって」と、後から知った事実を明かしました。

やなせたかしさんからは、初回の収録時に「かっこいいヒーローだと思ってやらないでください。世界で一番かっこ悪いヒーローです。顔をちぎって食べさせるともうダメになりますから。そこを踏まえてやってもらいたい」というアドバイスがあったそうです。

15歳で単身上京 波乱万丈のキャリアスタート

愛知県出身の戸田さん。芸能界入りのきっかけは、10歳か11歳の頃、戸田さんの母が新聞で見つけたNHK名古屋放送児童劇団の募集でした。「なんかそういうの好きそうだから、受けたらどうだって言ってくれて」。すぐさま『中学生群像』(『中学生日記』の前身)に小学生でありながら中学生役で出演。劇団の先輩には竹下景子さんもいたそうです。

そして15歳で単身上京。「1人で東京で暮らせるなと思ってウキウキして。すぐに売れると思ったもんだから」と、当時の心境を「全然不安はなかった。親も親だと思いますけど、よく出しましたよね」と笑顔で語ります。

1974年には「あゆ朱美」として演歌歌手デビュー。しかし、「売れないなっていう感じは背負いつつ」と当時を述懐。歌の仕事よりもコント番組への出演が増え、伊東四朗さんや小松政夫さんの背中を見て「コメディエンヌになりたいって10代の時に思った」と、意外な転機を明かしました。新沼謙治さんのショーで「中歌」として全国を回り、月曜の朝に夜行列車で上野に着いてそのまま高校に通うというハードな日々も送っていたそうです。

「向いてないな…」声優初期の苦悩と支え

歌手活動に見切りをつけ、19歳の終わり頃、アラン・ドロンの吹き替えの声で有名な野沢那智さんが主宰する劇団に入団。「舞台ってそれまで見たこともよくないのに、全身をさらけ出して演技することに、力をつければ正しく評価してもらえるんじゃないかなって」と、新たな道を選んだ理由を語ります。

そして、野沢さんの「どうせなら喋る仕事の方がいい」という勧めで声優の道へ。最初の仕事は実写版『眠れる森の美女』の吹き替えで、いきなり主役のオーロラ姫役。しかし、すぐに眠ってしまう役だったため、「そんなにセリフはなかった」と笑います。

アニメ声優としては、『機動戦士ガンダム』のマチルダ・アジャン役が本格的なスタートでしたが、「右も左も分からなくて、やり方も分からないし、どうやって合わせていいかも分からない」。特に口の動きが合わず、「全然できなくて本当に向いてないなと思って」と苦悩の日々を告白します。

しかし、白石冬美さんや井上瑤さんといった先輩声優との出会いが大きな支えになったと言います。「仕事終わってからみんなでご飯食べたり、お茶飲んだり、そういう時間がちょっと楽しくて嬉しくて。最初の頃は我慢しながら仕事はきついなと思いながらも、その人たちに会いに行ってた」と語りました。

「台本に名前がない…」朝ドラ『あんぱん』極秘出演の裏側

現在放送中のNHK連続テレビ小説『あんぱん』への出演も話題です。やなせたかしさんと小松暢さん夫妻をモデルとした物語ということで、戸田さんの出演を期待する声も多く上がっていました。

戸田さんは「もうとっくに撮り終わってるんですが、台本には私の名前は最後まで載ってなかったんです。役名は載ってるんですよ」と衝撃の事実を告白。「スケジュールと香盤表ももらうじゃないですか。あれもね、役名はあるんだけど私の名前は書いてないんですよ。こんなことないもの。名前書いてない台本ずっといつまでも持ってるわけですから」と、徹底した情報管理に驚いた様子。

「オンエア見たら違う人になってるんじゃないかっていう不安も」と冗談めかしつつも、「こんな経験は初めてでしたね、本当に」と、特別な作品への参加だったことを明かしました。

脚本家の中園ミホさんとは、出演が決まる前に、やなせ先生や暢さんのことについて取材を受けたのが最初だったとのこと。「先生とはとても親しくさせていただいてたから」と、やなせ先生との交流を振り返り、「天国で先生は喜んでると思います」と語りました。

映画最新作『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』

そして、6月27日公開の映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』についても言及。今回は、蒼井優さんが声を担当するチャポンという男の子が「アンパンマンに”お兄ちゃん”と慕ってくれる」物語。

「かっこいいって、人をこう倒すことだけがかっこいいんじゃないっていうことを最終的には学ぶ話になってると思います」と、作品に込められた深いメッセージを語りました。

今回の映画にはパンサーの3人も出演。向井慧さんと尾形貴弘さんはロボ2号という敵役、そして菅良太郎さんはニンジンさんの役で登場します。戸田さんは菅さんの声について「プロの声優ではありえない声の出し方というか。いい意味での違和感。新鮮すぎて誰?っていう」と絶賛。「やろうったってできない。本当に難しい」と、その独特の魅力を語りました。

このニュースに関するつぶやき

  • 脚本や出演者は素晴らしいのだけど、あのクソゴミな主題歌だけが汚点。
    • イイネ!3
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