「部屋が汚い人」にありがちな“NG習慣“とは…清掃員が語る「片付けできない人の落とし穴」

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2025年07月03日 16:11  日刊SPA!

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日刊SPA!

YouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」より引用
 自宅や実家の「片付け」がブームと呼べるほどになって久しい。一方で、汚部屋といった言葉がメディアを賑わせ、片付けの特集番組もしばしば見かけるが、挫折する人が少なくないことの表れなのだろう。
「実は、片付けには成功の法則があります」と言うのは、ゴミ屋敷片付けの専門業者(株)ウインドクリエイティブの代表取締役・二見文直さん。創業10年足らずながら、2万軒以上の片付けを手掛けてきた、その道の第一人者だ。

 今回は、著書『捨てるコツ』(ダイヤモンド社)もある二見さんに、挫折しない片付けの秘訣をうかがった。

◆きれいな部屋が「正義」というわけではない

——数年前から「コロナ禍でゴミ屋敷が増えた」という報道が目立ちました。実際に、ゴミ屋敷の増加は最近の傾向なのでしょうか?

二見文直(以下、二見):実態はそうではありません。ゴミ屋敷はそれ以前からたくさんあったのが、「コロナ禍で顕在化した」というのが正しいです。リモートワークが一気に普及してオンラインコミュニケーションが当たり前になり、ウーバーイーツで出前を頼む人も増えて、「今の部屋は人に見せられない」と焦った人たちが増えたというのが実情といえます。

今はその反動なのか、「ごみ1つ落ちていない部屋が正義」みたいな風潮も一部ではあるようです。ですが、私からすれば自分の部屋にモノが少しくらい散らかっていても、「当人がストレスを感じていないのなら別にかまわないのでは?」というスタンスです。

 もしこれがストレスになっていたり、家族の迷惑になっているのなら、本気で片付けを考えることをおすすめします。まずはその決心が肝心で、それがないと始まりません。

◆不要なモノはゴミ袋に直行させる

——整理収納のプロのアドバイスで「最初にモノを仕分けせよ」とよく聞きますが、やはりそこからですか?

二見:実は、それはうまくいかないことが多いです。そもそも、モノがあふれて仕分けするためのスペースがない部屋は少なくありません。それに、これは使うか使わないか、たまになら使うか、などを判断する心理的負担が増えてしまいます。

大切なことは「とにかく不要とみなしたものは即捨てること」です。捨てるというのは、手にとった不要物をそのままゴミ袋に入れてしまうのです。初動の段階では、これ以外のことは考えないでください。「これは売れるかも」「欲しい人に譲れるかも」といったこともなしです。

 なぜ捨てるのかといえば、空きスペースをつくるためです。そうして初めて、仕分けができるようになります。それに、使っていなかった収納ケースがごみ山の奥から出てきたり、「こんな大きい食器棚は必要ないじゃない」といったことに気づくこともできます。

◆ちょこちょこした片付けが挫折を防ぐ

——整理収納の本の多くには「置くスペースがあれば、あらゆる引き出しから一回全部出そう」と書かれています。モノを分別するには、その手順が必要と力説されているのですが……。

二見:全部出したら、そこからは丸1日かかる作業になりかねません。普段片付けしていない方には、ハードルが高すぎます。私がすすめるのは、ちょこちょこした片付けです。そのほうが、途中で挫けるリスクも最小限に抑えられます。

また、もう1つの挫折ポイントは、整理・収納グッズを先に買ってしまうことです。100円ショップに行くとそうしたグッズがたくさんあって、思わず買いたくなりますよね。でも、それは逆効果になりやすいといえます。

それはグッズ自体が部屋を圧迫するからです。既にあるモノを少なくすれば、収納グッズをあらためて増やす必要性は全くないのです。繰り返しになりますが、まずはとにかく捨てるところから始めてください。

◆実は捨てることで8割完了している

——ある程度捨てたら、次のステップとして何をすべきでしょうか?

二見:実は捨てるべきものを全部捨て終わると、それで100うちの80ぐらいは工程が完了しています。

例えば、実家の食器棚を想像してください。子供は独立して親御さんの2人だけで住んでいるとします。でも、食器は子供が幼い頃からのものを含め、かなりたまっていたはずです。思い入れのあるものは残すにしても、実際は要らない食器がたくさんあるでしょう。子供が帰省してきた際でも、使う食器は知れていますよね。

そこで、食器の7割を捨てたとしたら、食器棚のスペースはかなり空くでしょう。残り3割をどうするか、考えないでもいいくらいですよね。収納スペースを追加する必要もないはずです。

◆「謎アイテム」は思い切って捨てる

——では最後に、完璧にモノを捨てられる人になるために注意しておきたいことを教えてください。

二見:私が「謎アイテム」と呼んでいるモノの扱いには注意してほしいです。机や戸棚の引き出しを開けると、使い道はよくわからないけれど、なんとなく取っておきたい、“こまごましたモノ”がありますよね。捨てようかどうかと考えるのが面倒だし、とりあえず収納されているからまあいいか……となりやすい。

でも、それは今後使う出番がくるかといえば、ほとんどないかと思います。そうしたものも思い切って捨てられるようになれれば、片付けもほぼ満点といえるでしょう。

 *  *  *

 片付けで大切なのは「完璧を目指さないこと」と二見さん。不要なモノを少しずつ捨てるだけでも、部屋も心も驚くほど軽くなるはず。まずは机の引き出しやカバンの中など、小さな場所から一歩踏み出すことが大事なのだろう。

取材・文/鈴木拓也

【二見文直】
株式会社ウインドクリエイティブ代表取締役。YouTubeチャンネル「イーブイ片付けチャンネル」運営者。1984年大阪府生まれ。一般社団法人遺品整理士認定協会認定遺品整理士。生前整理技能Pro1級。リサイクル販売会社に勤務後に独立し、2016年に株式会社ウインドクリエイティブ(屋号はイーブイ)を設立。毎月200軒以上の依頼に応え、これまで2万件以上の片付けを経験。2024年12月、著書『1万軒以上片づけたプロが伝えたい 捨てるコツ』(ダイヤモンド社)を上梓。X:@EeveeSns

【鈴木拓也】
ライター、写真家、ボードゲームクリエイター。ちょっとユニークな職業人生を送る人々が目下の関心領域。そのほか、歴史、アート、健康、仕事術、トラベルなど興味の対象は幅広く、記事として書く分野は多岐にわたる。Instagram:@happysuzuki

このニュースに関するつぶやき

  • 先に収納ボックス買ってしまいがち。そして記事の人がいうように、収納ボックスが部屋のスペースを圧迫している。まあいいさなんとかなるはずたぶん
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