さいたま地裁=さいたま市浦和区 埼玉県川口市で昨年9月、酒気帯び運転で車を逆走させ、男性の車に衝突し死亡させたとして、自動車運転処罰法違反(危険運転致死)罪などに問われた被告の男(19)=中国籍=の裁判員裁判の公判が5日、さいたま地裁(江見健一裁判長)であり、検察側は懲役9年を求刑した。弁護側も最終弁論し、結審した。判決は19日。
被告は公判で飲酒運転を認める一方、危険運転を否認していた。
検察側は論告で、被告は民家が立ち並ぶ狭い道路を法定速度の4倍で走行し、停止する意思もなかったことから危険運転致死罪は成立すると主張。運転も緊急性はなく、「身勝手で自己中心的な行動だ」と非難した。同罪が成立しない場合も、過失運転致死罪で懲役6年が相当とした。
弁護側は最終弁論で、道路は直線で走行に支障はなく、車両の制御は可能だったと反論。一方通行と気付いたのは進入時で、故意による危険運転ではないと主張した。判断力の未熟さによるもので、少年院での更生が妥当だとした。
被告は最終意見陳述で「命を奪った罪深さを忘れません」と述べた。
起訴状などによると、被告は昨年9月29日、法定速度が30キロの川口市内の一方通行道路を時速約125キロで逆走。交差する道路を右から走行してきた車に衝突し、会社役員縫谷茂さん=当時(51)=を死亡させたとされる。
さいたま地検は当初、同法違反(過失運転致死)罪などで起訴したが、今年3月、より法定刑が重い危険運転致死罪への訴因変更を請求し、認められた。