国連の世界気象機関(WMO)本部=ジュネーブ(AFP時事) 【ロンドン時事】国連の世界気象機関(WMO、本部ジュネーブ)は16日公表の報告書で、太陽の有害な紫外線を吸収するオゾン層の回復が進んでいるとの見解を示した。オゾン層を破壊するフロンの使用規制などの国際協調により、破壊物質の生産・消費を99%以上減らせたとし、成果を挙げていると評価した。
報告書によると、フロン類の放出により南極上空に発生する「オゾンホール」の2024年の規模は、20〜23年と比べて縮小した。
世界各国の大半がオゾン層破壊物質の全廃を目指した「モントリオール議定書」を批准したことで、エアコンなどに幅広く使われたフロン類の削減や代替が進展。フロン類などの生産と消費の段階的削減で、今世紀半ばまでに1980年代の水準へ回復する軌道に乗っているとし、「過剰な紫外線による皮膚がんや白内障などのリスクが大幅に低減される」との見通しを示した。
グテレス国連事務総長は声明で「この成果は、各国が科学の警告に耳を傾ければ進歩が可能であることを示している」と強調した。