
危険運転致死傷罪の見直しに向けた議論を進めている法制審議会で、法務省は議論のたたき台となる数値基準の条文案を示しました。
法務大臣の諮問機関「法制審議会」の部会では、悪質な運転による死傷事故を適正に処罰するため、危険運転致死傷罪の見直しに向けた議論が進められています。
現行法に対しては適用基準を明確化するよう求める声が上がっていて、数値基準を設けるかが議論の最大の焦点です。
きょう開かれた部会で、法務省は議論のたたき台となる数値基準の条文案を示しました。
「飲酒運転」では2つの案が示され、▼A案では血中のアルコール濃度が1ミリリットルあたり「0.5ミリグラム以上」、または呼気のアルコール濃度で1リットルあたり「0.25ミリグラム以上」とし、▼B案では血中のアルコール濃度が「1.0ミリグラム以上」、呼気のアルコール濃度が「0.5ミリグラム以上」としました。
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「高速度」でも2つの案が示され、▼最高速度が60キロを超える道路では、最高速度に加えて「50キロ」か「60キロ」、▼最高速度が60キロ以下の道路では、最高速度に加えて「40キロ」か「50キロ」とし、それぞれの数値基準を超えれば危険運転致死傷罪の適用範囲とするとしています。
数値基準の案について法務省の担当者は、「法制審の部会で出た意見や専門家へのヒアリングを根拠としている」と説明しました。
一方、数値基準を設けることについては、交通事故で家族を失った一部の遺族から「基準に達しないと危険運転に問えなくなる」といった懸念の声が上がっています。
この点について法務省の担当者は、たたき台の条文案に「その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」や「重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度」との文言を設けていて、「数値基準を下回ったとしても危険運転致死傷罪が適用される場合がある」としています。
たたき台の条文案では、いわゆる「ドリフト走行」についても示していて、「殊更にタイヤを滑らせて又は浮かせることにより、その進行を制御することが困難な状態にさせて、自動車を走行させる行為」としました。
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法制審の部会では今後、このたたき台の条文案をもとに議論を進めていくことになります。