晴海フラッグに早くも立ち込める“暗雲”…1億5000万円で購入した34歳男性は「完全に間違いでした」

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2025年10月06日 09:20  日刊SPA!

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入居開始後の最初の休日にもかかわらず、引っ越し業者のトラックは数台のみ
 東京オリンピックの選手村跡地に誕生した、総戸数5632戸の巨大マンション群「晴海フラッグ」。湾岸エリア最大規模として脚光を浴びた街に、異変が起きている。夢の街のはずが、人知れず“ゴースト化”が進行していた――。
◆暴走族が公園内をブンブン爆走! 想定外の住み心地の悪さに絶句

 地上50階建て・高さ180mを誇る「晴海フラッグSKY DUO」。分譲棟の最後発にあたり、眺望や共用施設の豪華さから“旗艦”と目されてきた。

 その直近の抽選倍率(’24年10月の最終期)は最高で640倍に達し、“最後の目玉”に、いよいよ9月下旬に入居が始まったのだ。

《こんなに綺麗な東京タワー見たことない!》

《ラウンジが素敵すぎる》

 SNSでは待ってましたと言わんばかりに、眺望を称えるコメントが溢れていた。

 だが、SKY DUOより一足先に入居した別棟の現地住民たちの顔は浮かない。商社勤務で、1億5000万円もの大枚をはたき3LDKを購入したという平原卓也さん(仮名・34歳)が語る。

「売り出し価格から右肩上がりに値上がりしていたので飛びついてしまいましたが、完全に間違いでした。街に活気がまるでないし、夜になると暴走族が公園内を爆音で走り回っているんです。最寄り駅の勝どきまで徒歩14分という“陸の孤島”であることは覚悟していたつもりでしたが、住み心地は正直全然よくない。景色なんて3日で飽きますしね……」

◆入居直後から転売を求める立て看板

 SKY DUOの入居が始まってから迎えた、初めての週末。昼過ぎに現地を訪れてみると、広大な敷地に人影はまばら。引っ越し業者の数もトラック3、4台が見られただけだった。

 むしろ目立つのは、晴海フラッグにあるスーパー前の交差点の四隅に居座る不動産業者たちだ。小雨降る中、パイプ椅子に座って微動だにせず立て看板を掲げる姿は異様だ。

 不動産ジャーナリストの榊淳司氏はこう語る。

「SKY DUOの購入者に転売を訴えかけるために座っているのでしょう。別の棟の居住者で、現在の晴海フラッグのありさまに嫌気が差して売却や賃貸を考える人もいますしね。今ならまだ、定価で買えた人は倍近い値段で売り抜けることができそう」

 日が落ちると、一層寂しさが際立つ。明かりがついてる部屋はまばらで、むしろ目につくのは路上駐車するアルファードなどのいかつい車。

 乗り降りするのは、スーツケースを引いた中国人旅行客か、あるいは水商売風の女性たち。前出の平原さんは、力なく語った。

「白タクが毎日、昼も夜も中国人たちを運んでいます。人相の悪いドライバーが路上駐車しているのを毎日のように見かけます。ラウンジでも公園でも目につくのは中国人ばかりで“ある棟”には中国人を対象にしたフードデリバリーのゴーストキッチンがあるなんて話も聞いています。管理組合は『闇民泊を見かけたら通報してください』と各戸に呼びかけ、実際警察が立ち入り調査した事案もあったようですが、まったくなくなる気配はないですね」

◆闇民泊にとどまらぬ又貸し疑惑も

 SKY DUOの対面にあるサンビレッジに住む大宅邦彦さん(仮名・52歳)も中国人の振る舞いをこう嘆く。

「夜になると、どこからともなくメークをばっちりキメた女性が現れ、白タクに乗っていく。“夜の店”の寮でもあるのではないかと勘繰っています。中国人による占有は共用部分にも及んでおり、とりわけひどいのがキッチンがついたパーティルーム。入居者は予約すれば利用できるのですが、予約はやたら埋まっていて、中国系の集団が利用していることが多い。どうやら、所有者が予約し、部外者に又貸ししているようなのです。運良く予約が取れてワインパーティをした時も、前の利用者が調理した火鍋か麻辣湯の匂いが部屋にしみついていて、げんなりしました」

 羨望の街として中央区に生まれたニュータウンに、早くも暗雲が立ち込めているのだ。

◆「中国人投資家の注目は他のエリアに移っている」

 晴海フラッグでの一部中国人の振る舞いは、同胞からも問題視されている。中国人の物件所有者、李賢仁さん(仮名・52歳)が話す。

「実際に住んでいる我々と、インバウンドで来る旅行者を一括りにしないでほしい。闇民泊や白タクは恥でしかないし、見かけた際には中国系住民のSNSコミュニティで情報を共有し、追い出すよう協力しています。先日も闇民泊業者を警察に通報し、取り締まりを促す様子が小紅書(RED)に掲載されたほど」

 結果として起きているのは「中国人投資家の晴海フラッグ離れ」だ。中国事情に明るいジャーナリストの周来友氏が語る。

「日本の不動産バブルを牽引しているのは間違いなく中国人投資家。ある投機筋は『晴海フラッグを所有する3分の1は中国人』と言うほど、買い占められています。ところが、晴海フラッグはいざ居住が始まると、交通の便が悪いことに加え、『地震が来たら怖い』と感じる人が増え、敬遠されるようになった。日本の不動産自体に興味は失っていないものの、かつて晴海に向いていた目は今、地盤がしっかりしているエリア、例えば吉祥寺に向いている。この流れが進めば、晴海フラッグはゴーストタウン化が進むのではないでしょうか」

 前出の榊氏も指摘する。

「晴海の分譲賃貸は3年や5年といった定期借地で出してるパターンが多いのが特徴なのですが、これは裏を返せば『売りたい』から。現時点では周辺の相場以上の価格で取引されている晴海フラッグですが、ポテンシャルからすれば明らかに高すぎ。投機目的で所有している人の投げ売りが始まれば、価格は一気に落ちるのでは」

 五輪が残した遺産が今、大きな岐路に立たされている。

【不動産ジャーナリスト・榊 淳司氏】
購入者側の視点に立ちながら取材を重ねる住宅ジャーナリスト。著書に『マンションは日本人を幸せにするか』(集英社新書)など

【ジャーナリスト・周 来友氏】
中国浙江省紹興市生まれ。1987年に私費留学生として来日し、司法通訳人を経て現職。翻訳・通訳派遣会社も経営する

取材・文/週刊SPA!編集部

―[東京[晴海フラッグ]ゴースト化の舞台裏]―

このニュースに関するつぶやき

  • 大地震が来たら東京湾の埋立地はどうなるのだろう?東日本の時でもあんなだったのに。
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