文化庁の表札=東京都千代田区 文化審議会(島谷弘幸会長)は24日、食などの生活文化を重要無形文化財に指定し、優れた技能を持つ料理人や杜氏(とうじ)らを同保持者(人間国宝)に認定する基準を文部科学相に答申した。現在は芸能と工芸技術に対象が限られているが、少子高齢化による担い手不足を踏まえ追加する。基準見直しは50年ぶりで、今年度中に基準の告示が改正され、来年度以降に指定や認定が始まる。
文化庁は2021年、登録無形文化財制度を創設。芸能や工芸技術に加えて生活文化も対象とし、伝統的酒造りや京料理などを登録した。その後、食や書道、華道や茶道など生活文化の分野でも重要無形文化財に相当する優れた技能者の存在が明らかとなり、基準新設を決めた。
新たな基準は芸能や工芸技術と同様、「芸術上特に価値が高い」「歴史上特に重要な地位を占める」などと規定。人間国宝は、生活文化を「高度に体得している」「生活文化を正しく体得し、精通している」などと定めた。
同庁は他に、食に関する業界の振興を目的に、日本の食文化に関わる料理人らを顕彰する制度「食の至宝」の創設を検討している。