日中首脳会談を前に習近平国家主席(右)と握手する高市早苗首相=31日、韓国・慶州(代表撮影・時事) 【慶州(韓国)時事】韓国・慶州を訪問中の高市早苗首相は31日、中国の習近平国家主席と初めて会談した。両首脳は「戦略的互恵関係」の推進を確認。東シナ海の緊張を踏まえて防衛当局間の危機管理と意思疎通の重要性で一致し、経済安全保障分野の輸出管理対話強化を申し合わせた。首相は日本産水産物や牛肉の輸入規制で前向きな対応を取るよう求めた。
会談はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせて設定された。約30分間行われ、「建設的かつ安定的な関係」を目指す方針でも一致した。
首相は沖縄県・尖閣諸島周辺などでの中国の威圧的行動や邦人拘束、レアアース(希土類)の輸出規制に言及。「懸案と課題を減らし、具体的な成果を出したい」と呼び掛けた。
台湾に関しては「この地域の安定・安全には両岸関係が良好であることが重要だ」と強調。南シナ海での中国船の行動や香港、新疆ウイグル自治区の人権状況にも懸念を示した。
一方、習氏は歴史認識や台湾問題で原則を守るようくぎを刺した。特に戦後50年に出された村山談話の重要性を強調した。中国国営中央テレビが報じた。
首相は対中強硬派、親台湾派として知られる。村山談話には植民地支配と侵略への「反省とおわび」が明記されており、首相は過去に談話を批判したことがある。
両氏は握手を交わして会談に臨んだ。習氏は「日中は一衣帯水の隣国だ」と指摘。関係構築に前向きな首相の姿勢を歓迎し、「首相と意思疎通を共にし、関係発展を推し進めていく用意がある」と述べた。
これに対し、首相は「日中は地域と国際社会の平和と繁栄という重要な責任を有している」と表明。「習氏と率直に対話を重ね、首脳同士の関係も深めていきたい」と語った。

中国の習近平国家主席(右から2人目)と会談する高市早苗首相(左から2人目)=31日、韓国・慶州(代表撮影・時事)

日中首脳会談後、取材に応じる高市早苗首相=31日、韓国・慶州