写真 恋愛・婚活コンサルタントの田中亜依です。10年間の婚活で600人以上とデートを重ねた経験を活かし、現在は年間1000人以上の恋愛相談を受けています。
今回も、国際線ファーストクラスを担当していた元客室乗務員の桜さん(仮名・38歳)と共に、大人のコミュニケーション術について語ります。桜さんは客室乗務員として国際線のファーストクラスを担当した後、指導員として活躍しており、ホスピタリティ分野のプロです。
年齢を重ねるにつれ、ライフステージの違いから、友人と疎遠になったり、気まずさを感じたりする人も多いのではないでしょうか。今回は、CA流の「距離感の持ち方」を伺いました。
◆エコノミーとファーストで異なる「お客様との距離感」
田中亜依(以下、田中):40代になると、既婚・独身、子あり・子なしなど立場の違いで友人関係がぎくしゃくすることがあります。
人間関係の「距離感」をどう保つかがポイントになってくると思うのですが、桜さんはCA時代、お仕事で人との距離感に悩むことはありましたか?
桜さん(以下、桜):ありました。機内は距離感の調整そのものです。
ファーストクラスは少人数なので、じっくりお客様に寄り添える。一方、エコノミーは大人数のお客様へ効率的に対応しないといけない。つまり、深く関わる時とさらっと流す時を切り替える力が求められるんです。
◆自慢話ばかりの友人に疲れたら、エコノミーモードに
田中:婚活女性からも「子持ちの友人に会うと、いつも子どもの自慢話ばかりされる」「話題を全部持っていかれて疲れる」という声をよく聞きます。そういう時はどうすればいいでしょう?
桜:そういう時は、“エコノミーモード”に切り替えればいいと思います。お客様の多いエコノミークラスでは、全員に集中して対応しようとすると体力が持ちませんよね。だから、必要最低限の対応で、あえて深く関わらない。
友人関係も同じで、「そうなんだ、すごいね」と軽く返して、無理に深く会話を広げない。距離を置くことは悪いことではなく、自分を守るための工夫なんです。
◆話題が合わなくなってきた友人とどう向き合う?
田中:40代になると、自分が独身だと子育て中の友人とで話題が合わなくなることもありますし、もちろん逆もあります。こういう時は疎遠になるしかないのでしょうか?
桜:無理に相手に合わせる必要はありません。お互いに興味があって、負担にならないような共有できる領域を見つければいいと思いますよ。仕事の話、美味しいお店の話、趣味の話など、子育ての部分では距離があっても、別の話題ではつながれますよね。
機内でも、お酒好きなお客様とはワインの話、映画好きな方には機内エンタメの話、と相手によって会話を変えていました。友人関係でも同じで、全員と全ての話題を共有する必要はなく、つながれる部分だけを大切にして、友人関係を続けていけばいいのではないでしょうか。
◆上から目線のアドバイスがしんどい時のかわし方
田中:独身の女性からは「既婚の友人に、上から目線で恋愛アドバイスをされるのが嫌」という声もあります。これも距離の問題でしょうか?
桜:そうですね。そういう場合は、正面から反論しなくても大丈夫です。機内でも、専門知識を持つお客様から「もっとこうしたらいい」とアドバイスされることはありましたが、「ありがとうございます。参考にします」と言って流していました。
友人に対しても「なるほど、そういう考え方もあるよね」と軽く受け止めれば、相手も満足してくれるし、自分も傷つかずに済みますよ。
友人との距離感は「変えていい」ものなんです。ファーストクラスのように深く寄り添う関係もあれば、エコノミーのように効率的に対応する関係もある。どちらも大切で、どちらも正解です。特に大人になると、人との距離感を調整できる人は魅力的に見えますよ。
◆友情を長続きさせるためにも、今は距離感を調整しよう
桜さんの経験から学べるのは、友人関係だって「距離感は調整していい」ということ。ファーストクラスとエコノミークラスの対応を切り替えるように、友人関係も距離感を調整すればいいのです。
10代や20代の頃はなんでも分かち合って助け合ってきた友人でも、年を重ねるとお互いの境遇や価値観が変わります。そんな時は、お互いが無理なく過ごせる共有できる部分を大切にして、それ以外は無理に合わせようとする必要はありません。
少し悲しく感じるかもしれませんが、長い目で見ると、友情を長続きさせるためにも必要な対応なのかもしれません。
<取材・文/田中亜依>
【田中亜依】
恋愛・婚活コンサルタント、デートコーチ。婚活歴10年、婚活に700万円を投資。マッチングアプリ、結婚相談所、合コンで600人以上の男性と出会い結婚。この経験を生かし、国内最大手結婚相談所にて「また会いたくなるデート方法」などのセミナー講師として活動。Twitter:@date_coach_ai/Instagram:@ai_tanaka1019