都民参加型の最終検証は2025年12月15日13時スタート予定【家電コンサルのお得な話・278】 東京都が15歳以上の都民に1万1000円分のポイントを付与する方針を示した。当初計画されていた8000ポイント分に、今回の補正予算で4000ポイント分を加え、公式アプリ「東京アプリ」で受け取った「東京ポイント」を民間決済事業者のポイントなどに交換することで買い物などに活用できる仕組みである。12月15日13時にスタートする都民参加型の最終検証の結果を踏まえて、今後速やかに実施する予定だ。
その他の画像はこちら●予算総額は当初計画から450億円上乗せ
事業の正式名称は「東京アプリ生活応援事業」。物価高が続く中で、1人につき1万1000円は家計にとって少なくない金額である。特に単身世帯や子育て世帯では、食費や日用品の値上がりが負担となっており、即効性のある支援は歓迎される。また、現金給付とは異なり、ポイント付与の方式は消費に直接つながりやすく、地域経済の活性化にも一定の効果が見込まれる。
東京都としては、都民の生活を下支えしながら、ポイント付与をきっかけとした東京アプリの普及によって行政サービスのデジタル化を推進したいという狙いもある。なお、12月15日13時〜26日18時に開催する最終検証に参加すると、同事業とは別に500ポイントがもらえる。この検証は、新規登録からポイント付与までの一連の動作の確認や、アクセス集中回避に向けたデータ収集を行うという。
しかし、最大1万1500円(本事業+最終検証)相当のポイントがもらえる今回の事業の意義を認めた上で、いくつかの本質的な疑問が残るのも事実である。まず、支援が一時的なものであるということだ。物価高の背景には輸入コストの上昇や賃金の伸び悩みがあり、自治体が単独で対応できる範囲を超えている。単発の支援は確かに助かるが、継続的な安心感にはつながらない。家計が本当に求めているのは、一時的な補填ではなく「毎月の負担が軽くなること」であり、その点では根本的対策が依然として不足している。
また、徴収と再配分を繰り返す方式が最適なのかという問題もある。都の財源が一定の余力を持つのであれば、最初から負担を軽減するという選択肢も本来あり得る。税や行政手数料を抑える方向での支援は、制度も単純で、住民が実感しやすいからだ。
さらに、国が補助金の配分先を見直し始めている中で、東京都にも「財源の使い方をより透明化」し、利害関係の影響を排除する姿勢が必要だろう。
生活安定のためには、負担軽減策と構造的な改善を組み合わせる必要があり、都政はその方向性を明確に示すべきである。今回のポイント付与事業を機に、家計支援のあり方と財源の構造を見直し、住民にとって持続性のある政策への転換が求められている。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所 堀田泰希を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実践的内容から評価が高い。