厚いグラスは甘く、薄いグラスは苦く 中央大とサッポロビールの研究から見えた触覚を活用したビールの楽しみ方

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2025年12月15日 15:40  OVO [オーヴォ]

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実験で使用した飲み口の厚いグラス(左)と薄いグラス(右)


 「口当たり」というのは、食べたり飲んだりするものを口に入れた時の感じ方を表す言葉だが、食器に直接口をつけて飲むものだと、食器自体の口当たりが味に影響を及ぼしていても不思議はない。これを明らかにしたのが、中央大学とサッポロビールによる「ビールグラスが味わいに与える影響」の共同研究。厚いグラスは甘く、薄いグラスは苦く感じることが多いことが分かったという。

 これまで、グラスやマグカップなど容器の色や形状、材質などの視覚情報や触覚情報が、飲料の味覚評価に心理的影響を与えることが報告されてきたが、実際に飲み物を取るときに、常にこれが認識されているとは限らない。そこで飲料を口に運ぶ間、常に接触している「グラスの飲み口の厚み」に着目し、唇の触覚が飲料の味覚評価・味覚予測に与える心理的影響を調べた。先行研究では、飲み口が厚いグラスでは緑茶の甘味が強く、薄いグラスでは苦味が強く感じられることが示されていた。

 今回は「ビール」での研究。実験では、厚みの異なる2種類のグラス(飲み口の厚いグラスは約3ミリ、薄いものは約1ミリ)に、約80%、100ミリリットルまで同じ種類のビールを注ぎ、日常的にビールを飲む、実験の目的を知らない48人が目隠しをして飲み比べを実施。より甘味を強く感じたビール、より苦味を強く感じたビールをそれぞれ選択してもらった。

 その結果、多くの参加者が、甘味が強いビールは厚いグラスで飲んだもの、苦味が強いビールは薄いグラスで飲んだものを選択したという。参加者は目隠しをしていたため、視覚ではなく、唇に伝わるグラスの触覚が味覚評価に影響したことになる。厚みの異なるグラスは重さも異なるため、後続の実験では重さの影響を統制、厚みを一定に保ちつつ重さのみを変化させたところ、味覚評価に差は見られなかったという。つまり甘さ、苦さの判断は、グラスの重さではなく、厚みに起因するものだったということが分かった。

 この研究の成果に基づけば、同じビールでも料理との相性に合わせた味わいの調整や、季節・気分に応じたグラス選びが意味を持つことになる。厚いグラスによって甘味が強く感じられるという錯覚効果は、例えば糖質制限をしている消費者に対して、実際の糖分を増やすことなく満足度を高めるなど、ウェルビーイングの向上にも寄与する可能性があるとしている。




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  • という事は分厚い升で飲んだらとても甘く感じるのか? 木の器でビールを飲むってイメージは湧かないけど^^;
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