トークショーを行った三嶋一輝(写真提供=あじさいプラザ) DeNAを退団し、17日に現役引退を発表した三嶋一輝が、横浜市瀬谷区の区民文化センター「あじさいプラザ」で行われたトークショーに出演した。引退発表後、初めて公の場に姿を見せ、集まった多くのファンの前で、自らの言葉でこれまでとこれからを語った。
現役続行の道を模索しながらも、年明けに自らピリオドを打つ決断をした三嶋。「色んなことがあった13年間でした。そしてみんな優しかったですね。選手もコーチも監督もファンの皆様も。ホントに優しく背中を押してくれた13年間でした」と冒頭からベイスターズへ感謝の思いを伝え、穏やかな表情で現在の心境を明かした。
引退に至った理由については、独立リーグや社会人など複数の選択肢があったことを告白。しかし、本命として目指していたNPBからのオファーがなかった中で、「とりあえず野球を続けたいのか、それともNPBに戻るためにやるのか」を自問自答したという。また、自身の中で「年内か年明けまで」という一つの区切りを設けていたこともあり、新しい道に進もうと決断した胸の内を、初めてファンの前で明かした。
プロ生活を振り返り「13年間は長かったですね」としみじみ語る場面もあった。最近、入団当時の監督・中畑清氏と会った際には「エースになってくれると思ってたのにと言われて。なのに期待を裏切って」と2年目に任された開幕投手の話をいきなり持ち出されたと苦笑い。新人年に先発として結果を残し、2年目に大役を託されながらも期待に応えられなかった悔しさ、そこから中継ぎ、抑えへとはい上がった道のり、そして国指定の難病「黄色靭帯骨化症」の発症…「いいことの後には、必ず悪いことがありましたね」と語るその言葉には、波乱万丈なプロ人生の重みがにじんだ。
それでも、何度も崖っぷちに立たされながら復活を目指し、戦い続けてきた。その時間は決してあっという間ではなく、本当に長く感じたことは紛れもない本心だった。
今後については、「野球に携わることをしたいですね」と前向きな展望を口にし、「実際に解説のお仕事の話もいただいています」と第二の人生の準備が進んでいることも明かした。また、「黄色靭帯骨化症の方のサポートなど、僕にしかできないことをやっていきたい」と、経験を生かした活動への思いも語り、三嶋らしいフロンティアスピリットを感じさせた。
イベントでは、得意の絵を披露する場面も。TBS時代のマスコットキャラクター「ホッシー君」を思い浮かべながら描き上げると、会場は大きな歓声に包まれ、ファンとの距離の近さを改めて感じさせた。
トークショーを終えた三嶋は、「引退を発表して、初めてファンの前で話すことができて、本当に良かったです」と満面の笑みを浮かべ、会場を後にした。
何度倒れても立ち上がり続けてきた不屈の右腕。その経験と、決して諦めない強い心は、これから歩む第二の人生でも大きな武器となる。ファンとともに歩んだ13年間への感謝を胸に、唯一無二の道を、これからも三嶋一輝らしく進んでいく。
取材・文=萩原孝弘