毛髪再生に必要な「第3の細胞」=マウスで発見、生え替わり再現―脱毛症新治療法へ・理研とオーガンテック社

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2026年02月25日 15:31  時事通信社

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理化学研究所とオーガンテック社の研究チームが実験容器内で再生させたマウスの毛の器官「毛包」(写真中央から右上に伸びているのが毛)。人工皮膚への移植で生え替わりまで完全に再現した(同社提供)
 皮膚で毛髪を生み出す器官「毛包」を実験容器内で完全に再現するのに必要な第3の細胞を成体マウスで発見したと、理化学研究所とベンチャー企業「オーガンテック」(東京都中央区)の研究チームが25日発表した。この「毛包再生支持細胞」はヒトの大人にもあり、脱毛症の新治療法の開発が進むと期待される。

 理研の辻孝・元チームリーダー(現客員主管研究員、オーガンテック会長)らは2007年に開発した「器官原基法」を応用。12年に成体マウスのひげの毛包にある「上皮性幹細胞」と「毛乳頭細胞」(間葉性幹細胞)をコラーゲンゲルの中で組み合わせて培養し、毛包を再生したが、生きたマウスの皮膚に移植しないと、毛の持続的な生え替わりを実現できなかった。

 今回は毛包再生支持細胞を加えた3種類の細胞を重ね合わせて培養し、人工皮膚に移植する方法により、実験容器内で生え替わりまで完全に再現した。辻会長は「器官を生体外で、成体の幹細胞を用いて完全に再生した初めての例だ」と説明した。論文は国際的な科学誌「バイオケミカル・アンド・バイオフィジカル・リサーチ・コミュニケーションズ」に掲載された。

 毛髪は成長と退行、休止を繰り返す毛周期により生え替わる。毛包再生支持細胞は休止期から成長期に移行し、毛を長く伸ばす段階で働いている。脱毛症患者自身の毛包再生支持細胞を採取して実験容器内で増やし、薄毛の部分に戻せば、新治療法になると期待される。特に女性型脱毛症で有効である可能性があり、研究チームはクリニックとともに臨床研究を目指す方針。

 将来は患者自身の3種類の細胞を組み合わせて培養し、再生した毛包を脱毛領域に大量に移植する方法の臨床研究も視野に入れているという。

 毛周期の起点は毛包のバルジと呼ばれる膨らんだ部分の直下にある。毛は単純に上に伸びるのではなく、根元の毛球部の位置がバルジから皮下脂肪の方向へ下がりつつ、毛を長く上に伸ばしていく。この「ダウングロース」現象は、バルジの周囲にある毛包再生支持細胞(間葉性幹細胞の一種)が別種の細胞に分化し、毛包の筒状組織を下へ細長く成長させて起きることが分かった。 

マウスの毛の器官「毛包」を実験容器内で再生し、生え替わりまで完全に再現したオーガンテック社の辻孝会長(理化学研究所元チームリーダー)=10日、東京都中央区の同社
マウスの毛の器官「毛包」を実験容器内で再生し、生え替わりまで完全に再現したオーガンテック社の辻孝会長(理化学研究所元チームリーダー)=10日、東京都中央区の同社

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