アストンマーティンとホンダを悩ます『異常振動』を推察。自社製ギヤボックス単体の問題にあらず/短期集中連載(1)

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2026年03月23日 12:30  AUTOSPORT web

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2026年F1第1戦オーストラリアGP ガレージを出てコースに向かうランス・ストロール(アストンマーティン)
 技術規則が一新された2026年シーズンのF1。アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームとホンダは、シーズン開幕前からパワーユニット(PU)の異常振動問題に悩まされており、その解決策は未だ見つかっていない。そこで今回は3回に分けて、アストンマーティンやホンダが製作するコンポーネントやシステム、関係者の言葉を元に、異常振動問題の原因を推察していく。

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 もうすぐF1日本GPが始まる。その舞台となる鈴鹿サーキットを直近の4年間、席巻してきたのがホンダのパワーユニット(PU)だ。しかし、今年ホンダは5連覇どころか、レースを完走することすら危うい状況に追い込まれている。

 問題となっているのは、パワーユニットの『異常振動』だ。しかも、その異常振動はプレシーズンテストから続き、開幕して2戦経過しても解決できていない。なぜ、アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1チームとホンダはこのような事態に追い込まれてしまったのだろうか。

 異常振動を起こしている元である『起振源』がエンジン(ICE=内燃機関)であることはホンダも認めている。ただし、それは1分間に1万数千回転もの超高回転で上下運動を繰り返す動力である以上、当たり前。振動しないエンジンなど、ありえない。

 問題は『振動』ではなく、『異常振動』だ。今回の振動の問題をホンダのエンジンや技術力に原因があるかのような見方をしている人もいるが、それならば2021年からドライバーズ選手権を4連覇することはなかっただろう。

 もちろん、レギュレーション変更によって2025年のICEと2026年のICEは異なるため、100%ホンダのエンジンが原因ではないとは言わないが、もしそうなら、なぜアストンマーティンのエンジニアが5人も栃木県さくら市のHRC Sakuraに来て、共同で振動対策を行っているのか。そもそも、異常振動によりダメージを受けているのはバッテリーであり、コクピットにいるドライバー。エンジンは壊れていないことを考えると、今回の異常振動はエンジンを車体に取り付けて実走行して、はじめて直面するという問題だと考えるのが自然だ。

 つまり、エンジンから発生する特有の振動は、エンジンが車体に組み付けられて走り出すと異常な値になるということだ。もし、この仮説が正しければ、原因として考えられるのは、以下の5つとなる。まずはギヤボックスだ。


◾️仮説1:ギヤボックス(アストンマーティン製)

 アストンマーティンは昨年までメルセデスからパワーユニットとギヤボックスの供給を受けていた。しかし今季からはホンダのパワーユニットを使用するため自分たちでギヤボックスを設計・製造しなければならなくなっている。しかも、2009年にフォースインディアとして参戦して以来、メルセデスからギヤボックスの供給を受け続けてきたアストンマーティンにとって、ギヤボックスを開発し製造するのは今回が初めてだった。ギヤボックスはエンジンとドライブシャフトを通して連結されているため、エンジンの振動を最初に受け止めるのはギヤボックスが、振動を増幅している可能性が考えられる。

 ただし、もしそうなら、ギヤボックスもまたエンジン同様トラブルに見舞われるか、壊れていても不思議ではないが、これまでのところ壊れたという報告は受けていないため、ギヤボックス単体の問題とは考えにくい。

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短期集中連載(2)に続く

[オートスポーツweb 2026年03月23日]

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