取材に応じる高市早苗首相=7月30日、首相官邸 高市早苗首相(自民党総裁)が食料品の消費税率を2年間限定で8%から1%に引き下げる方針を打ち出したことを受け、自民内から2028年夏の参院選への影響を懸念する声が上がっている。参院選の翌年に税率を元に戻さなければならない計算となるため、「税率8%復活」の是非が参院選の争点となるのは必至との見立てからだ。
「消費税を上げたり下げたりすること自体が社会に混乱をもたらす。やるべきじゃない」。自民の西田昌司参院議員は7月31日の党税制調査会の会議でこう訴えた。積極財政派の論客である西田氏が首相方針に反対論を唱えたことは、党内の一部に広がる危機感の大きさを物語る。
首相は同30日、食料品の消費税を27年4月から2年間に限り8%から1%に減税する方針を自民に伝達した。自民内から懸念が出ているのは、首相方針通り減税が実現すれば、税率8%への再引き上げの時期が参院選から1年以内の29年4月に訪れることになるからだ。
28年に改選を迎える参院中堅は「野党は『税率を戻す状況にない』と訴えるだろう。『戻します』ではとても戦えない」と焦りを隠さなかった。
懸念の背景にあるのは消費税率引き上げが時の与党の「鬼門」となってきた歴史だ。1997年に税率5%に引き上げた自民政権は翌年の参院選で惨敗。10%まで2段階で引き上げる法律を2012年に成立させた民主党政権は同年の衆院選で下野した。
参院で少数与党の状況に甘んじる自民が28年参院選を過半数回復に向けた一里塚と位置付けていることも、首相方針への異論を増幅させている。
首相は7月30日、景気動向次第で減税を継続する「景気条項」を設ける必要はないと記者団に表明。「2年後には私が責任を持って確実に税率を元に戻す」と語った。税率再引き上げを既定路線にし、争点化を避ける狙いがあるとみられる。
ただ、首相に距離を置く自民重鎮は「再引き上げ反対の大合唱の中で本当に税率を上げられるのか」と懐疑的な目を向ける。消費税を巡っては10年参院選で菅直人首相(当時)が発言を二転三転させて惨敗を喫した例もあるだけに、自民内からは首相の「ぶれ」を不安視する声も出ている。