スマートフォンに表示された通信アプリのアイコン(AFP時事) 警察庁が検討する匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の通信端末に対する「遠隔解析」。秘匿性の壁に阻まれた対策の手詰まり感を打破する「切り札」として期待がかかるが、通信の秘密やプライバシーに触れる恐れもあり、警察には厳正な運用が求められる。
有識者検討会の提言は、遠隔解析による国民の権利侵害は最小限にすべきだとして、「犯罪に無関係の者にも行われるとの懸念は確実に払拭しないといけない」と強調。不当な監視への不安は、警察の職務執行に悪影響となるとくぎを刺した。
まだ犯罪が成立していない計画段階で警察が介入する場合が想定されるため、捜査ではなく、行政手続き上の措置と位置付けた。警察官職務執行法を改正し、遠隔解析を新たな任務に加える見通しだ。
取得情報の捜査への利用は、税務調査などを例に挙げて許容した。ただし、被害防止の趣旨を逸脱した権限行使は認めないとした。
検討会では、捜査機関などに通信情報の収集権限を与える英国の「調査権限法」や、捜査用のプログラム「ポリスウエア」を運用するドイツの事例が紹介された。日本でも端末の脆弱(ぜいじゃく)性を突いてハッキングし、情報をコピーする方式が想定される。捜査関係者によると、技術的には既に可能で、先行国のソフトなどが使えればより容易に導入できるという。
警察庁幹部は「有効な武器になることは確か」とした上で、「警察への期待と信頼を裏切らない、効果的で規律ある運用が重要になる」と話した。