なぜまた? 卒業3ケ月で、別のアイドル選考に挑戦する“元48センター”。経験者が大挙するアイドル転職時代の賛否

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2026年10月14日 15:50  女子SPA!

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≠ME オフィシャルサイトより
かつて、アイドルはグループを卒業すると、女優やモデルやタレントなどに転向するのが一般的で、芸能界そのものを離れる人もいました。

少なくとも、人気グループを卒業したメンバーが、しばらくして別のアイドルグループのオーディションを受けるという進路は、決して王道ではなかったはずです。

ところが、そんな常識も変わりつつあります。それは指原莉乃さんがプロデュースする≠ME(ノットイコールミー)の新メンバーオーディション。一度センターまで経験したアイドルが、再び「候補生」になる。令和のアイドル界には、卒業はもはや“上がり”ではないシビアな現実があるのです。

◆STU48卒業からわずか3カ月、石田千穂が候補に

≠ME の新メンバーオーディションで、2026年9月に32人の候補者が公開されると、アイドルファンを驚かせたのがその“前職”でした。元STU48・石田千穂さん、元SKE48・林美澪さん、元NMB48・河野奈々帆さんなど、48グループOGがズラリ。

オーディションの過程を追う番組、『≠ME 名無しのシンデレラ』(毎週月曜25:15〜、フジテレビ 関東ローカル)も10月5日にスタートしました。

なかでも驚くのが石田千穂さんです。2017年にSTU48の1期生として加入した石田さんは、約9年間在籍。表題曲で複数回センターを務めるなど、長年グループを支えてきた中心メンバーでした。2026年2月にSTU48の卒業を発表し、5月31日には卒業コンサートを開催。6月7日の卒業公演をもって、STU48としての活動を終了しています。

それから、わずか約3カ月後、≠MEのオーディション候補者として公開されたのです。

石田さんの公式プロフィールには、「新メンバーとして加わって後ろから背中を押して、押し上げて、いつか私が引っ張っていくような存在になりたい」、「人生をかけて頑張ります」との決意も。

9年間アイドルをやり、センターも経験し、卒業コンサートまで開催となると、アイドルはやり切ったかのように思えます。それでも24歳で、もう一度オーディションを受けることに対して「前グループでの活動に不満があったのか?」と勘繰るファンもちらほら。

◆SKE48を15歳で卒業した林美澪もアイドル再挑戦

もう一人、経歴のインパクトで負けていないのが林美澪さんです。10歳でSKE48に加入した林さんは、12歳で表題曲のセンターに抜擢され、その次のシングルでもセンターを担当。『Seventeen』専属モデルとしても活動し、“次世代エース”として期待されていました。

しかし2024年、15歳という若さでSKE48を卒業。本人は当時、「10歳で加入してから今日までの約4年半、たくさんの方々に応援していただいた」とコメントしていました。

そして現在17歳。≠MEオーディションのプロフィールでは、4歳からダンスを始め、10歳から15歳までアイドルとして活動した経験に触れたうえで、「経験を活かしながらも、常に初心を忘れず、≠MEさんの今後に貢献できる存在になります」と宣言しています。

◆いまやオーディションは“新人発掘”の場じゃない

そもそも今回の≠MEオーディションは募集要項に「芸能経験不問」と明記され、満12〜24歳の女性を対象に募集されました。つまり、芸能活動未経験の少女も、元センターも、同じオーディションに参加できる仕組みです。

かつてのアイドルオーディションといえば、「まだ誰も知らない原石を発掘する場所」というイメージが強かったもの。ところが現在は、一度別のグループで活動した人や、別のオーディションで落選した人が再挑戦することも珍しくありません。

たとえば、ちゃんみなさんがプロデュースしたオーディション「No No Girls」から2025年に誕生したグループHANAのMOMOKAさんは、その前年に「PRODUCE 101 JAPAN THE GIRLS」(通称・日プ女子)に参加し、最終順位20位で脱落。しかし再挑戦した「No No Girls」でデビューをつかみました。

同じくHANAのJISOOさんも、韓国で練習生生活を経験したのちに同オーディションへ参加。現在では「一度別の場所でデビューを目指していた」という経歴は、必ずしもマイナスではなくなっています。

さらに「日プ女子」から2024年に誕生したグループME:I(ミーアイ)にも、Girls²の元メンバーだった石井蘭さんが参加。すでに、ガールズグループとしてデビューし、テレビ出演やライブ経験もあった石井さんが、あえて101人の練習生の一人に戻ってオーディションに挑み、最終順位9位でME:Iとして再デビューを果たしました。

◆卒業や落選で「アイドル終了」しなくていい時代

「一度落ちたら終わり」、「一度デビューしたら次は女優やタレントへ」という一本道ではなく、経験者が別のオーディションを受け直し、新しいグループで再デビューを目指す。今では、過去の活動歴や挫折そのものが候補者の“物語”として注目される時代になっているのです。

一度の不合格や、一つのグループからの卒業で、「アイドルになる道」が閉じるわけではない。むしろ過去の経験や挫折まで含めて、その人の“物語”として受け止められる時代になっています。

◆経験者はズルい? 再挑戦に疑問の声も

もちろん、ファンの受け止め方は複雑でしょう。

今回の≠ME新メンバーオーディションも、SNSでは経験者の多さに驚く声がある一方、「完全な新人を見たかった」という意見や、前のグループを卒業して間もないメンバーの挑戦に戸惑う声も見られました。

歌もダンスも未経験の候補者の隣に、何万人もの前でライブをしてきた元センターがいる。素人よりスキルも経験も格上で、「そりゃこの子が勝つでしょ」という勝ち確ゲームを見せられている気分になるのも無理はありません。

一方、運営側からすれば、すでに知名度があるメンバーを入れたほうが人気が出ることは目に見えているでしょう。

また≠MEは2019年に結成され、すでにアリーナツアーを開催する規模のグループ。新グループではなく、完成されたチームに途中から加入するとなれば、求められるハードルは当然高いはずです。

指原さん自身、今回の新メンバー募集について、プロデューサー・運営側として「アイドルをやりたい子が1日でも長く続けられる環境」を作ることを考えたと説明しています。

となれば、「新人らしさ」だけでなく、一般的な会社同様に即戦力が候補に入るのも不思議ではありません。

◆アイドルがグループを“転職”する時代に

そして何より変わったのは、アイドル本人たちのキャリア観でしょう。

以前なら人気グループを卒業したあと、再びアイドルになれば、「じゃあなぜ卒業したの?」と言われかねませんでした。しかし、考えてみれば会社員だって何度も転職する時代です。やりたい仕事は同じでも、環境を変えることはある。前の会社で一定の成果を残した人が、「もうこの職種はやりません」と宣言する必要もありません。

しかも現在は、アイドルという仕事そのものが大きく多様化しています。グループによって楽曲もコンセプトも、ファンとの距離感も、目指すステージも違う。「アイドルを卒業した」のではなく、「そのグループを卒業した」。そんな考え方が成立するようになってきたのではないでしょうか。

センター経験者が再び候補生として並ぶ今回の≠MEオーディション。「卒業=アイドル人生終了」だった時代から、「次はどの場所でアイドルをする?」と考えられる時代になったのは、アイドル界にも本格的な“転職時代”がやってきたと言えるかもしれません。

<文/エタノール純子>

【エタノール純子】
編集プロダクション勤務を経てフリーライターに。エンタメ、女性にまつわる問題、育児などをテーマに、 各Webサイトで執筆中

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