会計検査院(田中弥生院長)は6日、2023年度の決算検査報告書を石破茂首相に提出した。税金の無駄遣いなどを指摘した事業は345件、金額は計約648億6200万円で、いずれも前年度を上回った。このうち294件は、法令違反などの「不当事項」で、指摘額は全体の約12%に当たる計約77億3600万円に上った。
1件当たりの指摘金額が最大だったのは、農林水産省に対する約218億7300万円。農家などが債務不履行となった場合に融資元に代位弁済する同省所管事業について、資金の約6割は今後使用される見込みがないと判断した。
省庁別でも同省が約353億4400万円と最も多く、厚生労働省の約77億6600万円、国土交通省の約23億2500万円が続いた。
新型コロナ関連の指摘は19件、計約50億7000万円で、うち「不当」と判断されたのは13件だった。他の6件は、不合理な制度設計などに対する改善を求めたり、指摘を受け改善の処置を講じたりした事項。コロナ禍で生活に苦しむ世帯に貸し付ける厚労省所管の事業で、対象ではない生活保護受給者に計約14億3600万円が貸し付けられたケースなどがあった。
報告書では他に、事業者のITツール導入費用を補助する中小企業庁所管の事業で、補助金計約1億3600万円の不正受給が明らかになった。厚労省が所管するケアマネジャー報酬の減額措置を巡っては、11都府県の26事業所に適用されず、計約1億1900万円が過大に支払われていたと指摘された。