探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の砂粒の表面に、岩塩やナトリウム炭酸塩の結晶があるのを見つけたと、京都大や東北大などの研究チームが発表した。りゅうぐうの元となった天体(母天体)内部から水が失われた際に結晶化したとみられるという。論文は21日までに、英科学誌ネイチャー・アストロノミーに掲載された。
京都大の松本徹特定助教らは、りゅうぐうの砂粒を電子顕微鏡などで詳しく観察し、表面に白い結晶状の物質を発見。構造を詳しく調べたところ、岩塩やナトリウム炭酸塩、ナトリウム硫酸塩の結晶であると分かった。
りゅうぐうの母天体は約46億年前の太陽系誕生から間もない時期に生まれ、内部には塩分が溶け込んだ豊富な水が存在していたことが分かっている。
研究チームは、母天体内部の水が何らかの理由で蒸発したり、凍結したりした際に塩分が結晶として現れたと推定。現在のりゅうぐうには水がほとんど残っておらず、これらの結晶は水が失われた経緯を知る手掛かりになるという。
同種の塩の結晶は土星の衛星エンケラドスなど内部に海を持つ天体の表面からも見つかっており、松本さんは「小惑星でも同じような塩があると分かり、比較研究が進むきっかけになる」と話している。