能登半島地震による沿岸部の隆起について、東北大などの研究チームが衛星画像を詳しく解析するなどした結果、陸地化した総面積は約4.5平方キロに上ることが分かった。半島北岸では約20キロにわたる広域の地滑りが発生していた。研究成果は5日、米科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載された。
研究チームは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の観測衛星「だいち2号」が撮影したレーダー画像の分析と現地での計測調査を合わせ、数十センチの精度で地形変動の状況を明らかにした。
その結果、沿岸部の隆起は一様ではなく、輪島市門前町吉浦で最大4メートル余り、珠洲市大谷町で同約2メートルと二つのピークがあった。また、半島北岸沿いでは約20キロ、山間部の若山川沿いでも数キロにわたり、最大幅2メートルほどの地滑りが発生していたことも判明。地形を保ったまま移動しているため、航空写真では分かりにくかったという。
東北大の福島洋准教授(測地学・地震学)は「広域の地滑り変動は、一部の道路破壊などに関連していると考えられる」と指摘。「将来的に大規模にずれる可能性があるかも含め研究を進めたい」と話した。