赤沢亮正経済再生担当相 トランプ米政権の関税措置を巡り、米側との交渉担当閣僚の赤沢亮正経済再生担当相が16日から訪米し、協議が本格化する。日本政府は米国側の要望事項を慎重に見極め、交渉の対象範囲を確定したい考え。相互関税の上乗せ分が約90日間猶予されていることを念頭に、交渉を急ぐ。既に発動されている自動車への追加関税の早期解除も求めるとみられる。米側が農産物や自動車の非関税障壁などで、どのような要求をしてくるかが焦点となる。
「依然として高関税が課せられ、市場へのアクセスを制限している重要な製品がいくつか存在する」。米通商代表部(USTR)が3月末に公表した2025年版の外国貿易障壁報告書は、日本の農水産物市場の開放は不十分として、コメの輸入システムなどへの不満を改めて示した。
コメについては、トランプ大統領が「700%の高関税を課している」と主張。日本側は算定根拠が分からないとして「理解不能」(江藤拓農林水産相)との立場だが、米側がやり玉に挙げることが予想される。
既に25%の追加関税が課されている自動車に関しても、トランプ氏は日本向け輸出の低迷に「不均衡だ」と不満を示してきた。同報告書も、日本が米国の自動車安全基準を日本と同等レベルとみなしていないことなどを「非関税障壁」と問題視している。
ただ、国内には「米国車が売れないのは、日本に適した車種の少なさが根本原因だ」(経済官庁幹部)と困惑する声も多い。国民の生命に関わりかねない安全規制の緩和は日本にとってハードルが高いとみられ、どのような交渉カードを切るか慎重な判断を迫られる。
トランプ氏は「われわれは日本を防衛するために多額を支払う協定を結んでいる」と不満を示しており、安全保障問題も論点になりそうだ。自民党の小野寺五典政調会長は13日のNHK番組で「日本の防衛費、在日米軍の駐留経費の問題が交渉の俎上(そじょう)に上がる可能性がある」と警戒心をあらわにした。
また、赤沢氏と議論するベセント米財務長官は、日本と通貨問題も議論する意向を示している。円安が日本の輸出に有利になるためで、赤沢氏も議論には応じる方針。為替の交渉を担う加藤勝信財務相と連携し、米側との意思疎通に努めるとみられる。