59歳と63歳、大物俳優2人のラブコメに「共感しかない」理由。年齢を重ねた“面倒な大人たち”が愛しい

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2025年04月14日 16:10  女子SPA!

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 人生に欠かせないドラマ。4月14日から放送される『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系、月曜よる9時〜)は、まさにそんなシリーズではないでしょうか。

 2012年1月に第1期の連続ドラマ『最後から二番目の恋』、同年11月にスペシャル版『最後から二番目の恋2012秋』、そして2014年に第2期となる『続・最後から二番目の恋』が放送されました。初放送から13年が経ってもなお、本シリーズを「最高傑作!」と絶賛する人は多く、アラフォー筆者の周囲も続編のニュースで大いに盛り上がりました。間違いなく私たちはこのドラマを欲していたのです。

 そこで今回、本シリーズが長きにわたり私たちの心をつかんで離さない理由を分析してみました。

◆ファンでも初視聴でも楽しめる、大人の会話群像劇

 本シリーズは、古都・鎌倉を舞台に小泉今日子演じるテレビ局プロデューサー・吉野千明と中井貴一演じる鎌倉市役所で働く公務員・長倉和平の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。物語は鎌倉に暮らす長倉家の隣へ、独身生活に一抹の淋しさを感じた千明が引っ越してくるところからはじまりました。

 長倉家は長男・和平、長女・典子(飯島直子)、次女・万理子(内田有紀)、次男・真平(坂口憲二)の4人兄弟で、千明はそれぞれとさまざまに関係を深めていきます。特に和平とは顔を合わせれば喧嘩ばかりですが、なぜかウマが合う。そんなふたりを中心とした、登場人物たちの「軽妙な会話劇」が本作の真骨頂です。

 千明と和平のように思っていることや思いのたけをぶつけ合えたらどんなにいいだろうかと、羨ましくなるほどに。脚本家・岡田惠和氏の手腕により、設定や背景を知らずとも、会話を聞いていたら自然と状況が理解できるので、途中から観ても十分に楽しめる作品です。

◆「愛らしく面倒な大人たち」に共感しかない

 登場人物たちの解像度が著しく高いことも、本シリーズの魅力。例えば千明はドラマ制作が大好きな敏腕プロデューサーで、職場では姉御肌の“みんなの上司”。一方で、淋しがり屋だったり、負けず嫌いの毒舌家だったり、恋する相手には素直に甘えられなかったり。完璧なキャリアウーマンとして描かれていないところも好感がもてます。

 和平も公務員として真面目で誠実な上司ですが、家族の前では何かと理屈っぽく説教臭い。優柔不断な面もあり、そのせいか未亡人にばかりモテる女難体質でもあります。ベテラン俳優の小泉・中井がその多面性と深みをチャーミングに表現しており、惹きつけられる。「あるある」と共感したり、「さすが!」と感心したり、「そうすればいいのか」と学んだり。とても魅力的な存在です。

 ふたりの家族や友人、職場の人たち一人ひとりのキャラクターもしっかり練られています。恋愛ドラマに登場しがちな、当て馬的キャラもご都合的キャラも存在しません。回を重ねるごとに、それぞれの人間性が色濃く映し出され、どんどん愛おしく思えてくるのです。本シリーズファンの方は、それぞれに“推しキャラ”がいるのではないでしょうか?

◆完璧ではない私たちに響く、珠玉の名台詞

 心に残る台詞も多く散りばめられています。ときに沁みたり、ときに勇気づけられたり、ときにグサッときたり。筆者は第1期の1話冒頭、千明の長いモノローグから鷲掴みにされました。

「いつか穏やかで、心に余裕があるような素敵な大人になりたいと思っていた。でも、歳はとっくに大人になっているはずなのに、思っていたのとは全然違う。大人になれば淋しく思ったりすることなんて、なくなると思っていたのに、全くそんなことはなかった。でもそれは私だけではなく、みんな同じなんだと思う。不安だし、淋しいけれど、それを口にはせず明るく笑い飛ばそうとしていた」。

 筆者が29歳だった13年前は「なるほど、そうか!」と感銘を受けましたが、40歳を過ぎて観返すとしみじみ聞き入ってしまう。そんな風に、観返すたびに台詞の受け取り方や響くシーンが変わるのも、本シリーズにファンが多い理由ではないでしょうか。何年経っても色褪せることなく、新鮮な気持ちでときに笑い、ときに涙してしまう作品なのです。

◆不器用なすべての大人たちの教科書

 前述の千明のモノローグにもあったように、何歳になっても人生はままならない。そのままならなさを、大人ならではの可笑しみを、切なさを絶妙な塩梅で描いています。

 千明と和平がお互いのことはもちろん、周囲の人たちの想いや価値観を、会話を重ねながら、受け止めて許容していく姿も理想的。ほかの登場人物たちがふたりを慕う気持ちにも、共感しかありません。恥ずかしくなるような失敗をすることも、悩むことも、不安なこともいっぱいあるけれど、千明と和平はそれでも日々を“ファンキー”に生きていくのです。

 そんなふたりを観ていると、年齢を重ねることは決して悪くないと思えてきます。観るときどきの自分と照らし合わせながら、何度も何度も勇気をもらえるのです。

※以下、第2期『続・最後から二番目の恋』の結末についてのネタバレを含みます。

◆新たに始まる「第3期」の見どころは?

 14日から放送の『続・続・最後から二番目の恋』では、千明は59歳の還暦間近。和平は定年を過ぎて63歳になっています。第2期のラストでは、お互いに想いを伝え合うようなシーンもありましたが、公式HPや予告を見ると相変わらずの距離感なふたり。アラカンを迎えたふたりがどんな生き様を見せてくれるのか、楽しみで仕方ありません。

 また、千明のかかりつけ医役として三浦友和が、和平と仕事を通して出逢う未亡人役として石田ひかりが初参戦します。ベテランのふたりが、どんなキャラクターを演じるのか、小泉・中井とどんな掛け合いを繰り広げるのかも見どころになりそうです。

 前作から11年もの時を経ているので、その間のエピソードを会話に織り交ぜる展開も期待したいところ。開始当時小学生だった和平の娘・えりな(白本彩名)はもう24歳ですから。どんな大人になっているのでしょうか。

 まさに大人の教科書のような本シリーズの最新作。まだ『最後から二番目の恋』シリーズを経験していない方には、第3期からでも配信を通して第1期からでもぜひ観てほしい! この春、最推しの作品です。

<文/鈴木まこと>

【鈴木まこと】
日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間でドラマ・映画を各100本以上鑑賞するアラフォーエンタメライター。雑誌・広告制作会社を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとしても活動。X:@makoto12130201

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  • 高齢の大物俳優のラブコメがいいのか!?その理由が分からない。
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