JR東日本の東北新幹線「E5系」(写真左)と「E3系」 【ニューデリー時事】インド西部で建設中の日本の新幹線方式を導入した高速鉄道に関し、日本が軌道や架線の点検用に、JR東日本の東北新幹線などで使われた「E5系」と「E3系」を1編成ずつ、インドに無償で譲渡する方針であることが15日、関係者への取材で分かった。車両に検測装置を搭載し、2026年初めにも納入する。
日印両政府は高速鉄道の運行車両として30年代初頭にJR東の次期新幹線「E10系」を採用する方針。しかし、インド政府が目指す27年8月の部分開業には間に合わない。
E5系・E3系の譲渡は点検任務そのものに加え、日本政府肝煎りのプロジェクト開業時に日本の車両が現地にあるという状況も重視したようだ。高温や粉じんの影響を含む走行時のデータを収集し、将来的にE10系をインドで現地生産する際に役立てる狙いもある。
E10系導入までは、速度を引き上げる改造を施したインドの準高速列車を運行させる予定。
運行車両を巡ってはE5系の採用が既定路線だったが、高額な見積もりや納期の遅れにインド側が難色を示し、自国の車両使用にかじを切りつつあった。譲渡はE10系とともに日本側が局面を変える打開策として昨年末に提案。インド側がおおむね受け入れる意向を示していた。
高速鉄道は西部のムンバイ―アーメダバード間の約500キロを結ぶ。総事業費は当初見積もりで約1.8兆円。円借款でその8割程度を手当てするが、事業費の膨張が見込まれている。今後のモディ首相来日と日印首脳会談に合わせ、両政府はE10系導入を可能とする新たな円借款の枠組みを創設する方針。
日本の新幹線技術が国外で初めて導入された台湾高速鉄道(台湾新幹線)には、車両に障害物が接触しないかを調べる「建築限界測定車」として、初代新幹線「0系」が無償譲渡された。