iPS細胞から精巧なミニ肝臓―末期患者への活用期待―大阪大
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2025年04月18日 07:31 時事通信社

ヒトの人工多能性幹細胞(iPS細胞)から、0.5ミリほどの肝臓のミニ臓器(オルガノイド)を作製することに成功したと大阪大の研究グループが17日、発表した。精巧な肝臓のオルガノイド作製は世界で初めてで、人間の新生児程度の機能を持ち、末期の肝臓病患者の治療への活用が期待できるという。研究成果は同日付の英科学誌ネイチャー電子版に掲載された。
肝臓は部分ごとに、糖や脂肪を合成したり分解したりする機能を持っている。これまでiPS細胞から肝臓を作製する際、こうした複雑な構造を再現することは困難だった。
大阪大大学院医学系研究科の武部貴則教授らの研究グループは、赤血球の分解時にできる「ビリルビン」と、ビタミンCの二つが、肝臓の機能を制御することに着目。一定の条件を整えた容器の中にiPS細胞とこの二つを入れて培養したところ、約0.5ミリの複雑な構造のオルガノイドが形成された。
重度の肝不全のラットに移植した実験では、作製された数千個のオルガノイドを移植したラットの30日後の生存率は5割超だったのに対し、移植しなかったラットは3割以下だった。
今回の成果は、体外で血中の代謝異常を浄化する透析のような「バイオ人工肝臓」装置への応用が可能という。武部教授は「オルガノイドを用いた治療がかなり現実味を帯びてきた」と話している。
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