米国の関税措置に関する総合対策本部で発言する石破茂首相(中央)。右は赤沢亮正経済再生担当相=25日午前、首相官邸 政府は25日、首相官邸で米国の関税措置に関する総合対策本部(本部長・石破茂首相)を開催し、トランプ米政権が繰り出す高関税政策への緊急対応策を取りまとめた。深刻な打撃が懸念される中小企業に対する資金繰り支援や相談体制の拡充、雇用維持策などが柱。世界的な景気減速が見込まれる中、国内の消費喚起策も盛り込んだ。
首相は米関税措置について、「国際社会が培ってきた経済秩序を変容させかねない」と指摘。関係閣僚に「不安を感じている企業や国民の声を積極的に聞き、必要な支援に万全を期してほしい」と指示した。
企業の資金繰り支援策として、日本政策金融公庫が手掛ける「セーフティネット貸付」の金利を引き下げる優遇措置の対象拡大を検討。民間金融機関からの円滑な資金調達のため、信用保証協会による「セーフティネット保証」の適用を促進する。生産調整や減産による雇用への影響を軽減するため、雇用調整助成金の手続きも迅速化する。
米国向け自動車輸出の減少に備え、必要に応じ国内需要対策も講じる。関税措置が物価に与える影響が不透明なことから、備蓄米の放出を含めて「物価高対策に万全を期す」方針を示した。
サプライチェーン(供給網)再編など中長期の影響も見据えた産業構造の転換も促進。特に米側が追加関税の対象に挙げる半導体や医薬品の国内製造体制の強化を加速させる。