越比訪問、関税対応で連携狙う=石破首相、日米交渉見通せず

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2025年05月01日 07:31  時事通信社

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ベトナムを訪問した石破茂首相(中央)。右はファム・ミン・チン首相=4月28日、ハノイ(EPA時事)
 石破茂首相は30日、東南アジア2カ国への4日間の訪問を終えた。トランプ米政権による関税措置発動後初めてとなった今回の外遊には、東南アジア各国への影響力拡大を図る中国に対抗するとともに、関税を巡る対応で関係国と連携を強める狙いがあった。ただ、首相の帰国に合わせるように本格化する日米交渉の先行きは見通せていない。

 「ベトナムの声にも誠実に耳を傾ける」「フィリピンの声にも耳を傾け、より良い解決を目指したい」。首相は28日の日越首脳会談、29日の日比首脳会談で米関税措置を取り上げ、両国の利益にもつながるよう日米交渉を進める考えを伝えた。

 トランプ米大統領が4月初旬に発表した「相互関税」の標的となったのは、グローバルサウス(新興・途上国)の一角である東南アジア各国も同様だ。一時停止中の上乗せ分も含めた関税率は、日本の24%に対し、フィリピンは17%。対米貿易黒字が拡大するベトナムは46%に達する。

 外務省幹部は「両国とタッグを組んで米国に対抗しようというわけではない」と前置きしつつ、「一定の連携は必要だ」と指摘する。政府高官は「米国と東南アジアの間を取り持つ役割が日本にはある」と語った。

 首相は両国訪問中、現地に進出する日本企業の関係者とも2回にわたって意見交換し、米関税措置の影響を聞き取った。首相は30日の企業関係者との会合で「トランプ関税が世界中を揺るがしている。資金繰りなどの支援を細かくやりたい」と伝えた。

 とはいえ、日米交渉の展望が開けたわけではない。交渉担当の赤沢亮正経済再生担当相は30日、首相と入れ替わるように米国に向けて出発したが、「野球で言えば交渉はまだ1回裏」(政府関係者)。一部でささやかれていた大型連休後半の首相訪米は見送られる見通しだ。

 相互関税上乗せ分の一時停止の期限が切れるのは7月上旬。今国会の会期が延長されなければ、参院選の公示直後となる。期限切れまでに交渉を妥結させ、上乗せ分の発動を回避できなければ、首相の政権運営にも大打撃となるのは確実だ。

 一連の日程を終えて記者団の取材に応じた首相は、関税措置に関する首脳らとの意見交換を振り返り、「極めて有意義だった」と指摘。「われわれの基本姿勢は全く変わらない。関税措置撤廃を求めていく」と強調した。同行筋は「首相はこれからが正念場だ」と語った。

 



 ◇主な政治日程

4月30日  赤沢亮正経済再生担当相が関税交渉のため訪米

6月13日  東京都議選告示(22日投開票)

  15日  G7サミット(カナダ、17日まで)

  22日  通常国会会期末

7月 3日? 参院選公示(20日投開票)

  上旬   米相互関税一時停止の期限

8月15日  終戦の日。 

フィリピンを訪問した石破茂首相(左)。右はマルコス大統領=4月29日、マニラ(AFP時事)
フィリピンを訪問した石破茂首相(左)。右はマルコス大統領=4月29日、マニラ(AFP時事)

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  • 無能が、やった感を出してるのは痛いね。交渉力ゼロだな。
    • イイネ!24
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