2025年F1第9戦スペインGP スタート 6月1日、2025年F1第9戦スペインGPの決勝レースが行われ、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がポール・トゥ・ウインで今季5勝目/自身通算7勝目を飾った。
2位にランド・ノリス(マクラーレン)、3位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続いた。角田裕毅(レッドブル)は13位となった。
カタルーニャ州バルセロナ近郊に位置するカタロニア・サーキットを舞台に開催された第9戦。スタートタイヤは19台中18台がソフトタイヤ(レッド/C3)をチョイス。ピットレーンスタートの角田がただひとりミディアムタイヤ(イエロー/C2)を履いた。
66周の決勝レースは気温30度、路面温49度、湿度50パーセントというコンディションでスタートを迎えた。ポールシッターのピアストリがターン1のホールショットを守る。その後方では3番グリッドのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が抜群の蹴り出しでフロントロウスタートのノリスを攻略し2番手に浮上する。
また、上位勢ではジョージ・ラッセル(メルセデス)がふたつ、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)がひとつポジション落とすなか、ルイス・ハミルトン(フェラーリ)が4番手、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が5番手に浮上した。
首位のピアストリは8周目を迎えるころにはフェルスタッペンを3秒引き離した。フェルスタッペンのペースはピアストリから1周0.2秒ほど遅れ、徐々に2台のギャップは広がりを見せる。
一方、フェラーリ勢は4番手ハミルトンのペースが悪く、5番手ルクレールが蓋をされるかたちに。3番手ノリスとハミルトンのギャップが6秒に達したなか、10周目のターン1でフェラーリは順位を入れ替え、ルクレールが4番手、ハミルトンが5番手に変わった。
中団勢が最初のピットストップを敢行するなか、ミディアムスタートの角田は9周目にソフトに履き替えた。レッドブルはタイヤのデグラデーション(性能劣化)が厳しいのか13周目のターン1でフェルスタッペンはノリスに2番手を明け渡すと、翌14周目に2セット目のソフトに履き替えた。
これでマクラーレンのワンツーが構築されたが、13周目時点ですでにピアストリとノリスのギャップは4.1秒まで広がっていた。22周目を終えるころには2台のギャップは5.7秒にまで達した。
ピアストリにギャップを広げられるノリスは22周目にピットイン(停車時間3.0秒)。翌23周目にピアストリがピット(停車時間2.2秒)を済ませると2台はミディアムタイヤに履き替えた。これで先にソフトに履いてハイペースで飛ばしたフェルスタッペンがマクラーレン2台をアンダーカットし、ピアストリを5.7秒、ノリスを10.4秒先行する首位となった。
第2スティントにミディアムを履いた車両が多く、また各車のギャップが広がったレース中盤は順位変動が少ない衡状態が続いた。そんななか、28周目にはニコ・ヒュルケンベルグ(キック・ザウバー)がピエール・ガスリー(アルピーヌ)をかわして9番手に浮上する。
角田はもっとも早い25周目に2度目のピットインを敢行し、2セット目のソフトタイヤを履いた。一方、フェルスタッペンは30周目に2度目のピットストップでミディアムに履き替え、ルクレールに続く4番手でコースへ復帰。レース周回の半分に満たない状況での2回目のピットは、フェルスタッペンが3ストップ作戦を採った証明になった。
その動きを把握したマクラーレンは2ストップを維持。ただ、フェルスタッペンがかなりのハイペースで飛ばしており、2番手ノリスには「フェルスタッペンとのレースは続いている。ペースを上げてくれ」と無線が飛ぶ。
36周目、フェルスタッペンはホームストレートのDRSの後押しもあり、一気にルクレールをパス。5.8秒先のノリス、9.4秒先のピアストリを追撃する体制に入ったが、対するノリスは自己ベストを更新する走りでピアストリとのギャップを2.8秒まで縮めていた。
ピアストリも応戦するべくペースを上げるも、ノリスは41周目に2.4秒までギャップを縮める。その間にもフェルスタッペンは虎視眈々と先行するマクラーレンとのギャップをわずかに縮めていた。
48周目、フェルスタッペンが3度目のピットストップを敢行すると、続けてマクラーレン勢も動いた。49周目にノリス、50周目にピアストリが2度目のピットインでソフトに履き替える。3台がフレッシュタイヤとなると、首位ピアストリ、3.3秒差の2番手ノリス、ピアストリから4.3秒差の3番手フェルスタッペンというオーダーに。ここから17周、3台の条件はイーブンに変わった。
わずかにピアストリが後続とのギャップを広げつあった55周目、マシントラブルに見舞われたアントネッリがターン10先のグラベルにマシンを止め、セーフティカー(SC)が導入された。この間にトップ3台を含むほとんどの車両がはタイヤを交換。ただ、マクラーレン2台が予選で3周使用したユーズドのソフトを履く一方、フェルスタッペンは新品のハードタイヤ(ホワイト/C1)を履いた。
「なんでハードタイヤなんだ?」とフェルスタッペンが尋ねると「選択肢はこれしか残されていないんだ」とチームは答えた。なお、4番手ルクレール、5番手ラッセルら後続も、このSC中に3周使用したユーズドのソフトを履いた。
レースは61周目、残り6周で再開されることに。そんななか、フェルスタッペンがリスタート目前の最終コーナー出口でバランスを崩す痛恨のミス。クラッシュは免れたが、チェッカーラインを超えた先でルクレールに先行を許し、フェルスタッペンは4番手に後退する。
フェルスタッペンは続けてラッセルの接近を受けながらターン1へアプローチ。ただ、続くターン2をショートカットしてポジションを守るかたちに。これで、フェルスタッペンは審議対象となり、ラッセルにポジションを譲らなければペナルティが科されるリスクを負うことになった。
64周目、フェルスタッペンはターン4立ち上がりでスローダウンし、ラッセルを先行させる動きを見せた。しかし、その直後のターン5でフェルスタッペンはラッセルに接触。幸い2台に大きなダメージなく、ラッセルが4番手に浮上する。そんななか、ヒュルケンベルグがハミルトンをかわす見事な走りで6番手に浮上した。
一方、マクラーレンのチーム内バトルは、早々に首位のピアストリがノリスをDRS圏外に出すと、毎周ギャップを広げる展開となり、ここで勝負が決した。66周目を終え、ピアストリがポール・トゥ・ウインで今季5勝目/自身通算7勝目を飾った。2.471秒差の2位にノリス、10.455秒差の3位にルクレールが続いた。
チェッカー直後、ラッセルとの接触に関し、5番手チェッカーのフェルスタッペンに10秒のタイムペナルティが科され、フェルスタッペンは10位に後退した。
これで、4位ラッセル、5位ヒュルケンベルグ、6位ハミルトン、7位アイザック・ハジャー(レーシングブルズ)、8位ピエール・ガスリー(アルピーヌ)、9位アロンソ、10位フェルスタッペンまでが入賞となった。
今季これまで苦戦が続いたアロンソは母国で今季初入賞を果たした。角田は4ストップを敢行し13位となった。
次戦となる2025年F1第10戦カナダGPは6月13日〜15日に、ケベック州モントリオールのジル・ビルヌーブ・サーキットで開催される。
[オートスポーツweb 2025年06月01日]