モンゴルの約9000万年前の地層から見つかった化石に基づく新種の小型ティラノサウルス類の想像図(小林快次北海道大教授、服部雅人氏提供) モンゴル南東部の約9000万年前(白亜紀後期)の地層から見つかった小型ティラノサウルス類の恐竜化石を新属新種に分類したと、北海道大やカナダ・カルガリー大、モンゴル科学アカデミーなどの研究チームが11日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。
この化石は1970年代前半の発見後、暫定的に別種に分類され、最近になって頭骨などの詳細な分析で見直された。学名は「モンゴルの王子の竜」を意味する「カンクウルウ・モンゴリエンシス」と名付けられた。
体重は500キロ未満だが、白亜紀末ごろに北米大陸で繁栄した大型のティラノサウルス・レックスなどの共通祖先に近いと推定される。
北大総合博物館の小林快次教授らはさまざまな時代のティラノサウルス類の特徴を網羅的に解析した。その結果、アジアと北米を行き来しているうちに多様化し、最終的に「過成熟化」と呼ばれる進化によって頭が大きく、骨格が極めて頑丈で、体重が3.5トン超もある種が出現したと考えられるという。

ティラノサウルス類が大きく進化するイメージ図。モンゴルで化石が見つかった新種「カンクウルウ・モンゴリエンシス」(中央)は中間に位置する(カナダ・カルガリー大のジャレッド・ボリス氏提供)