原油高で世界経済に打撃も=新たな不確実性―米対イラン参戦
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2025年06月23日 08:02 時事通信社

【ワシントン、ニューヨーク時事】米国がイスラエルと交戦する有力産油国イランを攻撃したことで、原油価格が高騰し、世界経済が打撃を受ける恐れが浮上している。トランプ政権の高関税政策による先行き不透明感が続く中、中東情勢の不安定化は、ただでさえ脆弱(ぜいじゃく)な世界の成長を一段と下押ししかねない。
原油相場は既に、イスラエルとイランが戦火を交えたため、大幅に上昇している。5月に1バレル=60ドル前後で推移していた米国産標準油種WTIの相場は、今月13日のイスラエルの先制攻撃で一時77ドル台まで急伸。20日の終値は75ドルをやや下回る水準と、高止まりしている。
イランは米欧の制裁下にあるものの、中東屈指の産油国だ。石油輸出国機構(OPEC)によると、イランの原油生産量は日量300万バレル超に上る。輸出の大部分は中国向けとみられる。
週明けの原油先物市場で、供給混乱への警戒感から買いが殺到する可能性がある。市場では、イランが米国による攻撃への報復措置として原油輸送の世界的な要衝、ホルムズ海峡の封鎖に踏み切れば、相場は120〜130ドルまで急騰するとの見方も出ている。日本向けの原油供給も同海峡経由が大半で、大きな影響が出かねない。
世界銀行は今月公表した経済見通しで、トランプ関税の影響により、2025年の世界成長率を2.3%と、前年の2.8%から減速すると見込んだ。トランプ政権と主要国・地域との貿易交渉も背景に「不透明感は4月がピーク。その後低下したが、なおも高い」(パウエル米連邦準備制度理事会=FRB=議長)状況にある。こうした中、中東危機が新たな不確実性を世界にもたらすのは必至だ。
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