録音・録画、偽造対策で要件に=「デジタル遺言」解禁へ試案―法制審

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2025年07月15日 21:01  時事通信社

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遺言書(イメージ)
 法制審議会(法相の諮問機関)の民法部会は15日、従来の手書きではなくパソコンやスマートフォンによる遺言作成を可能とする「デジタル遺言」実現に向け、民法改正案などの中間試案をまとめた。作成にかかる負担軽減が狙い。遺言者による口述の録音・録画など偽造対策を要件として盛り込んだ。

 現行法は、遺言について(1)遺言者が全文を手書きする「自筆証書遺言」(2)口述を受けた公証人が作成する「公正証書遺言」(3)遺言を封印した後に公証役場に持参する「秘密証書遺言」―の3方式を定めている。

 自筆方式は費用がかからず手軽な半面、身体的負担や紛失・改ざんリスクが課題とされてきた。2018年の民法改正では、財産目録に限ってパソコン作成が認められたものの、遺言自体は解禁されなかった。

 中間試案は、パソコンやスマホでデジタル遺言を作成、保存する方式を新設。その際、親族などを除く2人以上の証人が立ち会い、遺言者が記載内容を読み上げる様子を録音・録画する。本人確認を担保できるアプリが利用できる場合などは、証人を不要とする案も付記した。

 完成したデジタル遺言を電磁的記録か印刷書面で法務局などの公的機関に提出して保管する案も示した。この場合は、提出時に本人確認と内容の読み上げを求める。

 自筆証書遺言に関しては、中間試案の検討事項に押印廃止も盛り込んだ。

 法務省によると、昨年の自筆証書遺言の作成件数は不明だが、法務局での保管制度の利用は約2.3万件。一方、公正証書遺言は約12.8万件が作成された。

 中間試案の検討段階では、録画データの信頼性確保や高齢者の支援措置、生成AIによる偽造の可能性も論点となった。法制審は今後、パブリックコメント(意見公募)などを経て法相に答申。法務省は早ければ来年の関連法改正を目指す。 

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