会談に臨む石破茂首相(右から2人目)、立憲民主党の野田佳彦代表(同3人目)ら=25日、国会内 石破茂首相(自民党総裁)は25日、日米関税交渉の合意を受け、立憲民主党の野田佳彦代表ら与野党党首と会談した。日本への相互関税を15%とするなどの合意について「(日米の)共同文書を発出する予定はない」と明言。野党側は批判するとともに、経済対策が必要だとして2025年度補正予算案の編成を求めた。
会談は国会内で約1時間10分行われ、公明党の斉藤鉄夫代表、日本維新の会の前原誠司共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表らも参加。首相は冒頭、「守るべきは守った上で、両国の国益に資する合意を実現できた」と意義を強調した。
野党側は合意の詳細をただした。出席者によると、米側が「自動車関税15%」を公表していないことについて、首相は「解釈の問題だ。合意はしている」と説明。米ボーイング製航空機100機の購入は「日本航空、全日本空輸とよく相談して決めている」と語った。
トランプ米大統領らは、日本からの投資5500億ドル(約80兆円)の利益の90%を米側が受け取り、合意の履行状況を四半期ごとに精査するとしている。首相は「話としては出てきている」と認め、日本側でも精査する考えを示した。
野田氏らは、自動車関税が引き上げ前の2.5%から6倍になったとして補正編成を要求。首相は、日本経済への影響を「よく分析しなければ分からない」と述べるにとどめた。関税15%について「他の国に比べれば低い。相対的に優位に立つ」との認識を示した。
会談後、野田氏は記者団に、合意文書がないことについて「解釈の違いが地雷原になる」と問題視。前原氏は「非常に危うい。中身が煮詰まっていない」と批判した。玉木氏は「(合意直後に)評価したのは撤回したい」と語った。斉藤氏は「認識のずれがないようにする」ため、首相にトランプ氏との首脳会談を促した。
会談後、首相は記者団に「合意を着実に実行していく」と強調。玉木氏は「首相の続投意欲を強く感じた」と述べた。
関税を巡り、自民、立民両党の国対委員長が会談し、8月4日を念頭に衆院予算委員会を開くことで合意した。
党首会談には参政党が初めて参加し、れいわ新選組、共産党も出席した。

記者団の取材に応じる石破茂首相=25日、首相官邸