「スペースX」最高経営責任者(CEO)のイーロン・マスク氏=5月30日、米ワシントン(AFP時事) 【ニューヨーク時事】米宇宙企業スペースXのマスク最高経営責任者(CEO)は、衛星通信網「スターリンク」を使った携帯電話向けサービスで、約2年後に地球のどこでも動画を視聴できるようにする方針を明らかにした。既に一部の携帯事業者と提携し、災害時やへき地からでもテキストメッセージなどを送れる事業を始めているが、大量のデータのやりとりも可能になる見通しだ。
スペースXは8日、米衛星通信ネットワーク運営会社から一部の通信周波数帯の免許を購入すると発表。マスク氏は最近登壇したイベントで、携帯電話メーカーと協力してその周波数帯に対応した端末の準備を進めていると説明し、「恐らく約2年後に発売される」と話した。並行して新たな衛星も開発するという。
同社は2019年にスターリンク衛星の打ち上げを開始。24年に携帯電話との直接通信用にこれまでより低い軌道で回る衛星の配置も始めた。米国のTモバイルUS、日本のKDDIなど各国の携帯事業者と提携したサービスに乗り出している。
一方、周波数帯の取得により、自前のネットワークで携帯事業者の通信網を置き換えることも可能になる。ただ、マスク氏は「他の事業者を廃業に追い込もうとはしていない」と強調。既存の事業者は多くの周波数帯を押さえているため、生き残るだろうと語った。