自民党総裁選に立候補した5候補。(壇上前列左から)小林鷹之元経済安全保障担当相、茂木敏充前幹事長、林芳正官房長官、高市早苗前経済安全保障担当相、小泉進次郎農林水産相=26日午後、名古屋市北区 自民党総裁選の5候補が、党員票獲得に向けた動きを本格化させている。地方議員のネットワークやSNSを活用して支持開拓に注力。自身が重視する政策を視察でアピールしている。投開票は10月4日だが投票券が手元に届くとすぐに投票する党員も多いとされ、各陣営とも対応を急ぐ。
党員票は国会議員票と同じ295票で、投票権を持つ党員・党友は約92万人。党本部で集計した上で、各候補の得票数に応じてドント式で配分する。昨年の前回総裁選で石破茂首相は、第1回投票の議員票は46票で3位だったが、党員票は108票と2位。小泉進次郎農林水産相を上回って決選投票に進み、逆転勝利につなげている。
その小泉氏の陣営では、三原じゅん子こども政策担当相が「党員総括班」を担当。党員に電話で支持を呼び掛けている。「地方議員班」は地方議員を取り込もうとLINEグループを開設し、既に500を超えたという。中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の公式アカウントも設け、漁港視察の動画などで若い党員にもアピールする。
ただ、閣僚として公務もこなす必要があるため、党の演説会以外の地方遊説は未定だという。
いまや党内保守派の代表格となった高市早苗前経済安全保障担当相にとって、党員票は勝敗に直結する。前回の決選投票で敗れて以降、全国行脚を続けてきたのはそのためだ。22日の演説会で突然、万葉集の和歌を詠んで会場をざわつかせたが、陣営によると「国会議員からは不評だが、党員には好評」だという。
林芳正官房長官は小泉氏と同様、地方での活動には制約がある。24日夜に地元の山口県下関市で開いた総決起大会はオンラインで参加。党員との対話集会もオンラインの予定だ。
小林鷹之元経済安保相は26日、愛媛県の造船所を訪問。茂木敏充前幹事長は愛知県で三菱重工業の工場を視察した。狙いについて、小林氏は「造船業は経済安保上、極めて重要だ。競争力を世界の高みに押し上げる」と強調。茂木氏は「ものづくりを強化することで防衛産業を強くする」と語った。