トヨタGRの新型GT3車両『GR GT3』がついに正式発表「勝ちたい人に選ばれる」ことを目指す

　TOYOTA GAZOO Racing（TGR）は12月5日、FIA GT3規格の新型レーシングカー、『GR GT3』を正式発表するとともに、開発中のプロトタイプ車両を初公開した。

　トヨタ／レクサスは2015年より現在まで、『レクサスRC F GT3』を用いて、スーパーGTのGT300クラスやWEC世界耐久選手権、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権などを戦ってきたが、今回発表されたGR GT3は、この後継マシンとなる。

　2022年1月の東京オートサロンでコンセプトカーである『GR GT3 Concept』が発表されて以来、サーキットでの開発の様子がたびたび目撃されてきたTGRの新型GT3マシン。2025年7月には、カモフラージュ柄をまとい、英国で開催されたグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードにもサプライズ登場。正式発表の時が待たれていた。


■ル・マン含む国内外の多くのカテゴリーで活躍できる“世界戦略車”

　そんなTGRの新型GT3ウェポンが、ついに正式にベールを脱いだ。このマシンは、将来的にル・マン24時間レースを含むWECなどの国際レースや、スーパーGT、スーパー耐久などの国内レースをはじめとした、多くのカテゴリーで見られることになるはずだ。また、ヨーロッパやアジア、アメリカ、オーストラリアで開催されるGTワールドチャレンジの各シリーズや、ニュルブルクリンク24時間や鈴鹿1000km等を含むIGTCインターコンチネンタルGTチャレンジにも参戦することができる。

　GT3規格の車両にはベースとなる量産車両が必要となるが、TGRは同日「公道を走るレーシングカー」というコンセプトを持つ『GR GT』という名称の新フラッグシップスポーツカーも発表。量産車両の発表と同時にGT3バージョンも発表される形となった。

　ベースとなる『GR GT』は「低重心」「軽量・高剛性」「空力性能の追求」という3つのキー要素が盛り込まれた車両となるが、GR GT3でもこれらのコンセプトは引き継がれており、パワートレインもGR GTと骨格部品の多くを共用した4リッターV8ツインターボエンジンを搭載する。また、GR GTで採用されているオールアルミニウム骨格、前後ダブルウィッシュボーンサスペンションの基本構造についても、GR GT3で多くの部品を共用できるように開発しているという。

　WECのLMGT3クラスやIMSAウェザーテック選手権のGTDクラスなど、世界のGT3レースは現在、ジェントルマンドライバーの起用が必須となるシリーズも多いことを念頭に、TGRは新型GR GT3の開発に際し、「勝ちたい人に選ばれる、誰が乗っても乗りやすいクルマ」を目指すとしており、リリースには次のようにコンセプトが謳われている。

「GR GT3は、市販車をベースとするカスタマーモータースポーツのトップカテゴリーのFIA GT3規格に沿って、勝ちたい人に選ばれる、誰が乗っても乗りやすいクルマを目指しています」

「プロドライバーのみならずジェントルマンドライバーもステアリングを握るGT3カテゴリーのレーシングカーにおいても、GR GTと同様にドライバーファーストは重要な価値と考えています」

「同時にGR GT3はクルマとしての戦闘力を高めるだけでなく、レースに参戦するお客様が、心の底からモータースポーツを楽しんでいただけるように、最適なカスタマーサポート体制を整える用意も進めています」

　現在GR GT、GR GT3はシミュレーターを使った開発と同時に、トヨタテクニカルセンター下山などのテストコース、富士スピードウェイ、ニュルブルクリンクといった世界中のサーキットでの走り込みが行われているという。TGRは2台の発売時期について「2027年頃の発売を目指して開発を進めております」としており、レースへの正式デビューは2027年が見込まれる。

　ただし、多くのGT3マシンがそうであるように、正式デビューとホモロゲーション取得前にテスト参戦を行う可能性は残されているだろう。

■『GR GT3』主要諸元　※プロトタイプの開発目標値・社内測定値ボディ：全⾧ 4785mm×全幅 2050mm×ホイールベース 2725mmパワートレーン：排気量 3998cc　V型8気筒　ツインターボ駆動方式：FR（後輪駆動）

[オートスポーツweb 2025年12月05日]